台湾における大法官とは

台湾における大法官とは


はじめに

台湾では、5権分立制度が採られている。


1.司法院
2.立法院
3.行政院
4.考試院
5.監察院


であり、このうち司法院は以下の権利を有している。


1.解釈権(中国語:解釋權)
2.裁判権(中国語:審判權)
3.懲戒権(中国語:懲戒權)
4.司法行政権(中国語:司法行政權)


1.の解釈権には、大法官による憲法解釈、法律及び命令の統一解釈を行うことが含まれる。そして、大法官による解釈は、「大法官解釈(中国語:大法官解釋)」と呼ばれ、法的拘束力を有する。



大法官の資格(司法院組織法第4條)

大法官になるには、次のいずれか1つに該当する事が必要となる、

1.かつて最高裁判所裁判官を15年以上務めるとともに、成績が卓越しているもの。

2.かつて検察官を15年以上務めるとともに成績が卓越しているもの。

3.かつて弁護士を25年以上務めるとともに成績が卓越しているもの。

4.かつて教育部認定合格の大学または独立学園で専任教授を12年以上務め、裁判官法第5条第4項規定の主要法律科目を8年以上教えており、専門的な著作を有するもの。

5. かつて国際裁判所裁判官または学術機関で公法学または比較法学の研究に従事し、権威ある著作を有するもの。

6. 法学を研究し、政治経験に富み、声望が卓越しているもの。

ただし、1~5の各人数は定員の3分の1をこえてはいけない。



大法官の任命と任期

大法官の定員は15名とする。そしてその中から院長を1人、副院長を1人を、総統が選任し立法院が同意を経て任命される(中華民国憲法修正追加条文第5条第1項)。

大法官の任期は8年とし、再任はできない。ただし、院長、副院長は任期の保証は受けない(中華民国憲法修正追加条文第5条第2項)



大法官の職権

大法官は党派を超えなければならない以外に、独立して職権を行使し、いかなる干渉も受けない(司法院組織法第5条)。その職権は主に以下の4種類に分けられる。

1.憲法解釈
2.法律及び命令の統一解釈
3.総統、副総統の弾劾
4.政党の違憲解散



請願手続きができる場合

1.憲法解釈(司法院大法官審理案件法第5條)

中央政府または地方公共団体は職権で可能。

国民、法人、政党は、憲法上保証の権利に関し不法に侵害を受けている状況、判決確定の裁判において適用されている法律または命令が憲法に抵触する疑義があるとき等の場合は可能。

国会議員は総国会議員の3分の1以上の同意をもって職権を行使可能。

最高裁判所または行政裁判所において適用する法律に対し、合理的な確信に基づき、憲法に抵触する疑義があるときは可能。

2.法律及び命令の統一解釈(法院大法官審理案件法第7条)

中央政府または地方公共団体は見解の相違があるときは可能。

国民、法人、政党は、不法に損害されているときは可能。

3.総統、副総統の弾劾(中華民国憲法修正追加条文第4条第7項)

立法院の総国会議員の2分の1以上の発議で、総国会議員の3分の2以上の決議をもって可能。

4.政党の違憲解散

政党の目的またはその行為が、中華民国の存在または自由民主の憲政秩序に危害を及ぼすときは可能(中華民国憲法修正追加条文第5条第5項)。