NYU v. NYCU 商標事件
NYU v. NYCU 商標事件
米国TTABが国立陽明交通大学の
商標登録出願を拒絶
台湾の国立陽明交通大学(NYCU)が米国で出願した「NYCU」商標について、ニューヨーク大学(NYU)が異議申立てを行った。米国特許商標庁(USPTO)商標審判部(TTAB)はNYUの主張を支持し、商標登録を拒絶する決定を下した。本決定は非先例拘束的(non-precedential)であるものの、台湾の高等教育機関による国際的なブランド戦略に重要な示唆を与えるものである。
NYCUは第41類(教育サービス・文化的イベント等)について「NYCU」の商標登録を出願した。これに対しNYUが混同のおそれを理由として異議を申し立てた。争点は「NYCU」と「NYU」の類似性、および消費者における混同可能性の有無である。
地理的差異(台湾 vs. 米国)、消費者の高度な注意力、NYUの知名度による識別力向上を主張。実際の混同事例が存在しない点も強調した。
長年の教育事業と広範なブランド展開による高度の著名性を主張。教育展覧会・研修・情報提供等、NYCUの指定サービスとの実質的重複を指摘した。
- 商標の類似性 「NYCU」と「NYU」は1文字の差にすぎず、外観・称呼・観念のいずれにおいても高度に類似する。「NYC(ニューヨーク市)」との強い連想が混同リスクをさらに高める要因とされ、一般消費者には区別困難と判断された。
- サービス内容および需要者の重複 教育展覧会・情報提供サービス等はNYUの既存活動と実質的に同一であり、学生・保護者という同一の需要者層を対象とする点が重視された。
- 著名商標の保護範囲 商標の著名性が高いほど保護範囲が拡張されるという原則を確認し、NYUの強いブランド力が混同可能性の判断に与える影響を重視した。
- 「実際の混同事例なし」との主張の排斥 米国における使用実績が乏しい段階では実際の混同事例が生じないのは当然であり、決定的な反証とはならないと判断された。
TTABは、両商標の総合的な類似性およびNYUの著名性を踏まえ、需要者に混同のおそれがあると認定し、NYCUの商標登録出願を拒絶する決定を下した。
NYCUは「NYCU」の文字下部に「Taiwan」を付加した新商標を作成し、2025年夏を目処に米国へ再出願する方針を公表している。地理的識別要素の付加により両商標の出所識別力を明確化する戦略と解される。
台湾の主要大学のうち、米国で商標登録を試みたのはNYCUが初めてであり、国立台湾大学・国立清華大学はいずれも米国での商標登録実績を持たない。本案は、台湾の高等教育機関が国際的な知名度の向上を図るうえで、商標戦略の構築が不可欠であることを改めて示すものといえる。
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自由時報、陽明交大以「NYCU」在美註冊商標 紐約大學NYU提異議 https://news.ltn.com.tw/news/life/breakingnews/5088791
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民視電視網、獨/陽明交大NYCU商標闖美卡關 /遭認定與紐約大學NYU相似 https://www.ftvnews.com.tw/news/detail/2026428L08M1
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中央通訊社、陽明交大在美註冊NYCU商標紐約大學有意見 https://www.cna.com.tw/news/ahel/202506270195.aspx
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