台湾における契約 注意事項
注意事項
本文章において「中国語」とは、台湾で使用されている「台湾華語」を指すものである。
本文章は、いかなる法律的アドバイスや指示を与えることを目的とするものではありません。
本文章を利用することで生じた、いかなるトラブル、被害、損失、損害等に対して、一切責任を負いません。
台湾における契約 注意事項
当事者は、中国語で「當事人」と表記されます。
個人同士で契約する場合には、契約当事者による署名と押印のどちらも有効であるとされています。
台湾民法第3条(中国語)
1.依法律之規定,有使用文字之必要者,得不由本人自寫,但必須親自簽名。
2.如有用印章代簽名者,其蓋章與簽名生同等之效力。
3.如以指印、十字或其他符號代簽名者,在文件上,經二人簽名證明,亦與簽名生同等之效力。」
台湾民法第3条(日本語訳)
1.法律の規定に基づき、文字を使用する必要があるとき、本人による自筆でなくてもよい。ただし本人自ら署名をしなければならない。
2.押印を署名の代わりにするときは、その押印は署名と同等の効力を有する。
3.拇印、十字その他記号記号を以て署名の代わりをするときは、文章において2人の署名証明を経たのち、署名と同等の効力を有する。
ただし、台湾には「國民身分證」(日本のマイナンバーカードに相当)があり、全ての台湾人が所有しているため、事前または契約時に「國民身分證」による本人確認をすることで、相手が未成年ではない等、よりリスクを軽減することができます。
相手方が企業である場合には、相手方企業の「公司統一編號」(日本の会社法人等番号に相当)を確認するとともに、企業側代理人が契約締結する際には代理権の有無や正式な委任状(委任内容、期限等)等の提示を求めることでリスクを軽減できます。
実際に、正式な委任状がないまま会社を代理し契約をしたため、無権代理になったケースもあります。
「台湾公司統一編號」の確認は、以下のサイトより検索可能です。
全國商工行政服務入口(https://gcis.nat.gov.tw/mainNew/index.jsp)
管轄裁判所に関して、台湾、日本または第3国を指定することと思います。
よく日本と台湾間の契約において、日本側の意見として日本の裁判所を指定する方が日本語も通じて便利で良いと考えることがあります。しかし、万一問題が起こり、裁判になり勝訴したとしても、台湾側の個人または企業が日本国内に資産がない場合も多く、当該判決の効力を台湾で有効にするには別の手続きが必要になります。
そのため、あえて台湾側の裁判所をしておき、勝訴した際には、そのまま資産差押え等に移ることができるような戦略でも良いかもしれません。
また、台湾には日本語を話せ、日本に留学したことがある弁護士も多くコミュニケーションに困ることもあまりないため、少なくとも言語の部分は心配する必要はあまりないと思います。
第3国においては、シンガポールなどを指定することもあると思いますが、実際シンガポールにおいて、日本語を話せる弁護士は台湾よりも少なく、また勝訴した際の判決の効力等も日本または台湾でそのまま有効にはならないため注意が必要です。
契約書に記載の日時に関して、元号を使用することは避けるほうが好ましいです。日本に元号があるように、台湾でも「民国」が使用されています。そのため不要な誤解をさけるため、西暦で統一します。