著作財産権者不明または所在地不明の著作物利用許可許諾制度

「著作財産権者不明または所在地不明の著作物利用許可許諾制度」
(中国語:著作財產權人不明或其所在不明著作利用許可授權制度)

制度概要

台湾においても「著作財産権者不明」、「著作財産権者の所在地不明」または「著作財産権者が死亡し、承継人が不明」等の状況が発生しており、これらの現状を解決すべく、台湾著作権法の「国家文化発展の促進」の立法趣旨に基づき、2010年02月03日「文化創意産業発展法(中国語:文化創意產業發展法)」を制定した。文化創意産業発展法第24条には著作財産権者が不明な際における許諾方法及び使用報酬方法を規定している。


文化創意産業発展法第24条

1.利用者が文化創意製品制作において、努力の一切を尽くしたとしても、既に公開発表された著作物、著作財産権者が不明または許諾を得ることができないときは、著作権専属主務官庁に許諾を得ることができない状況の説明をし、著作権専属主務官庁の査証を経た後、許諾の許可並びに使用報酬を担保したときは、許可範囲内で当該著作物を利用できる。

2.著作権専属所属機関は前項の許諾許可に関し、適切な方法を以て公告するとともに、政府広報に掲載しなければならない。

3.第1項の使用報酬をの金額は、一般著作物の自由交渉による合理的な使用報酬に相当するものでなければならない。

4.第1項の規定に基づき獲得した許諾許可で完成させた文化創意製品の複製物は、著作権専属主務官庁の許可日時、文書番号及び利用許可の条件と範囲を記載しなければならない。

5.第1項申請の許可、使用報酬の詳細計算方式及びその他遵守すなければならない事項に関し、著作権法主務官庁はこれを定める。

6.第1項の規定に基づき、許諾許可を得た後、その申請に事実ではない事由を発見したときは、著作権専属主務官庁はその許可を取り消さなければならない。

7.第1項の規定に基づき、許諾許可を得た後、著作権専属主務官庁が許可する方法に基づき著作物を利用していないときは、著作権専属主務官庁は当該許可を廃止しなければならない。


申請手続き概要

1.著作財産権者が不明またはその所在地が不明な著作物の許諾許可の申請に関し、「努力の一切を尽くして」著作財産権者を捜索したことが必要になる。ここで言う、「努力の一切を尽くして」とは、「著作財産権者不明の著作物利用の許諾許可及び使用報酬規則」(中国語:著作財產權人不明著作利用之許可授權及使用報酬辦法)第3条第3項の規定に基づき、以下の事項をする必要がある。

(1)著作権者団体またはその他機構に対し、利用著作物の著作財産権者の氏名、住所及び関係情報を確認し、当該団体または機構からわからない、または確認の連絡をしてから30日を経過しても返事がないとき。

(2)新聞掲載またはその他適切な方法で著作財産権者または関係情報を公開調査すること。

2.申請書の提出及び費用

(1)申請書ダウンロード

   著作財產權人不明著作利用之許可申請書(109.10版)

   著作財產權人不明著作利用之許可申請書(英文版)(109.10上傳版)

(2)毎著作物5000台湾ドル

3.許可または却下処分

(1)許可:許可の内容は行政院公報並びに台湾知的財産局ホームページに同時に掲載される。

(2)却下処分:申請事項が文化創意産業発展法第24条規定に合致しないときは却下処分される。

4.使用報酬費用の担保

著作財産権者不明の著作物利用の許諾許可及び使用報酬規則第6条規定に基づき、申請者は許可の書類の受領後、許諾利用の著作物を利用する前に、地方裁判所にて担保の手続きを行う必要がある。

5.著作物の利用

申請者は担保をした日より著作物を利用できる。利用時、当該著作物に、許可日時、書類番号、利用許可の条件及び範囲を記載しなければならない。記載の内容に関しては台湾知的財産局の許可上にある説明を基準とする。


申請フローチャート



引用:經濟部智慧財產局著作權組、著作財產權人不明或其所在不明著作利用許可授權申請指南、第3頁、

中華民國 109 年 9 月。筆者翻訳。





参考文献:經濟部智慧財產局著作權組、著作財產權人不明或其所在不明著作利用許可授權申請指南、中華民國 109 年 9 月。

URL:https://topic.tipo.gov.tw/copyright-tw/cp-460-881869-dc366-301.html