日本と台湾の大学における職位の違い
日本と台湾では、大学における職位名に違いがあります。特に、漢字が似ているためよく誤解があります。昨今、台湾と日本の交流は盛んですので、相手に説明する際の参考になれば幸いです。
1.日本の大学の職階
日本の大学教員の主な役職には、「教授(英語:Professor)」、「准教授(英語:Associate Professor)」、「講師(lecturer)」、「助教(assistant professor)」、「博士研究員/ポスドク(英語:Postdoctoral Researcher)」、「助手(英語:assistant)」等があります。
特に気をつけることとして、「准教授」、「講師」、「助教」、の3つがあります。
2007年の学校教育法改正で、「助教授」は「准教授」という役職に変わりました。また、「助手」も「助教」と「助手」に分離しました。
「助教」は、大学教員としての第一歩となる役職で、教授・准教授・講師と同様、自身の研究活動と学生の指導を担います。大学院博士課程を修了した人(博士号を取得した人)が着任するケースが多いです。
「助手」は、博士課程の院生が助手を務めるケースもあります。
2.台湾の大学の職階
台湾の大学の役職はアメリカを参考にしており、「教授(英語:professor)」、「副教授(英語:associate professor)」、「助理教授(英語:assistant professor)」、「講師(英語:lecturer)」、「博士後研究(英語:Postdoctoral Fellow)」、「助教(英語:teaching assistant)」等があります。
基本的に、博士課程を修了した後、博士後研究(日本のポスドク)または「助理教授」からのスタートとなります。ただし、工業大学等では、博士課程を修了しておらず、修士号のみでも実務等の審査基準をクリアすれば、「助理教授」に昇格することが可能です。
3.日本と台湾の大学の職階の違い(注意点)
(1)日本の「准教授」と台湾の「副教授」
日本は、2007年の学校教育法改正で、「助教授」は「准教授」という役職に変わりました。台湾では、同等の役職として「副教授」の名称が使用されています。
(2)日本の「講師」と台湾の「講師」
日本の「講師」は、「助教(assistant professor)」よりも上の役職ですが、台湾の「助理教授」は「講師」よりも上の役職になるため注意が必要です。また、台湾の講師は、博士課程を終了しておらず、修士号を取得した者が講師になることが多くあります。ただし、近年では、少子化に伴い常勤の講師を置かない大学も多くあります。
(3)日本の「助教」と台湾の「助教」
日本の「助教」は、自身の研究活動と学生の指導を担い、博士課程を修了した人が担うことが多いですが、台湾の「助教」とは、修士課程の大学院生等が教授等の手伝うティーチングアシスタント(TA)の意味で使用されます。
(4)日本の「助教」と台湾の「助理教授」
日本では「講師」の上の役職が「助教」になりますが、台湾では、「助理教授」が「講師」の上の役職になります。「助教」という漢字と「助理」いう漢字が似ていることと、役職に差があるためよく誤解が生じます。
台湾の大学の職階の違い(役職別)
日本 | 台湾 |
1.「教授(英語:Professor)」 | 1.「教授(英語:professor)」 |
2.「准教授(英語:Associate Professor)」 | 2.「副教授(英語:associate professor)」 |
3.「講師(lecturer)」 | 3.「助理教授(英語:assistant professor)」 |
4.「助教(assistant professor)」 | 4.「講師(英語:lecturer)」 |
5.「助手(英語:assistant)」 | 5.「博士後研究(英語:Postdoctoral Fellow)」※ |
6.「博士研究員/ポスドク(英語:Postdoctoral Researcher)」 | 6.「助教(英語:teaching assistant)」 |
※講師は修士号、博士後研究は博士号を取得しており、違いは大学に属しているか授業があるか等でどちらが上かは難しい。
以上となります。今回は、似ているようで似ていない日本と台湾の大学の役職の違いを紹介しました。今後、交流や、留学する際の参考になれば幸いです。