第3章 TRIPS協定 / 第三章 TRIPS協定
1994年、WTO設立議定書の附属書1CとしてマラケシュでWTO設立協定と同時に採択、WTOが管理。加盟国が最低限確保すべき知的所有権の保護水準についての義務等を規定。内国民待遇及び最恵国待遇を基本原則として規定し、工業所有権についてはパリ条約の規定の遵守を求め、パリ条約の保護水準を前提としてより高い保護水準を規定。
1994年作為《馬拉喀什設立世界貿易組織協定》附屬法律文書1C採納,由WTO管理。規定會員國就最低限度應確保之智慧財產權保護水準所負之義務,以國民待遇及最惠國待遇為基本原則,就工業所有權要求遵守《巴黎公約》規定,並在此基礎上設定更高之保護水準。
各加盟国は、知的所有権の保護に関し、自国民に与える待遇よりも不利でない待遇を他の加盟国の国民に与える。パリ条約・ベルヌ条約等の例外は維持される。
各會員國就智慧財產權之保護,應給予其他會員國國民不低於本國國民之待遇。巴黎公約、伯恩公約等之例外得予維持。
内国民待遇の相違点 / 國民待遇之差異(パリ条約 vs TRIPS協定)
| 比較項目 / 比較項目 | パリ条約 / 巴黎公約 | TRIPS協定 / TRIPS協定 |
|---|---|---|
| 保護対象 / 保護對象 | 工業所有権(特許・実用新案・意匠・商標・サービスマーク・商号・原産地表示・不正競争防止) | 知的所有権(著作権及び関連する権利・商標・地理的表示・意匠・特許・集積回路の回路配置・未公開情報の保護) |
| 保護内容 / 保護内容 | パリ条約2条(1) / 巴黎公約第2條第1款 | 3条1項 / 第3條第1項 |
| 内国民待遇の例外 / 國民待遇之例外 | パリ条約2条(3) / 巴黎公約第2條第3款 | パリ条約2条(3)を遵守するが、3条2項但書の制限がある / 遵守巴黎公約第2條第3款,但受第3條第2項但書之限制 |
他の国の国民(加盟国に限らない)に与える有利な待遇は、他のすべての加盟国の国民に対し即時かつ無条件に与えなければならない。パリ条約・ベルヌ条約にはない、TRIPS協定独自の原則。
對其他國家國民(不限於會員國)所給予之任何較有利待遇,應即時且無條件地給予所有其他會員國國民。此為TRIPS協定特有原則,巴黎公約及伯恩公約均無此規定。
最恵国待遇の例外(第4条)/ 最惠國待遇之例外(第4條)
| # | 例外事由(日本語) | 例外事由(中文) |
|---|---|---|
| ① | 一般的性格を有し、知的所有権保護に特に限定されない司法共助または法執行の国際協定に基づくもの | 基於一般性質且非專門針對智慧財產保護之司法互助或執法國際協定 |
| ② | ベルヌ条約またはローマ条約の規定に従って与えられるもの | 依據伯恩公約或羅馬公約規定所給予者 |
| ③ | この協定に規定していない実演家・レコード製作者・放送機関の権利に関するもの | 關於本協定未規定之表演人、錄音製作人及廣播機構之權利 |
| ④ | WTO協定の効力発生前に効力を生じた知的所有権保護に関する国際協定に基づくもの | 基於WTO協定生效前已生效之智慧財產保護國際協定 |
「他の国の国民」とあるため、他の加盟国の国民に限られない。つまり、WTO加盟国以外の国の国民に対して与えられた有利な待遇も対象となる。
因文中寫明「其他國家國民」,故不限於其他加盟國之國民。換言之,對WTO加盟國以外之國民所給予之有利待遇亦屬其範圍。
この協定に係る紛争解決においては、第3条及び第4条の規定を除くほか、この協定のいかなる規定も、知的所有権の消尽に関する問題を取り扱うために用いてはならない。→国際消尽は、各国が自由に規定できる。
於本協定項下之爭端解決中,除第3條及第4條規定外,不得以本協定任何規定處理智慧財產權耗盡問題。→國際耗盡制度,由各國自行規定。
TRIPS協定の保護対象(7種類):①著作権及び関連する権利、②商標、③地理的表示、④意匠、⑤特許、⑥集積回路の回路配置、⑦開示されていない情報の保護(営業秘密)
TRIPS協定之保護對象(7種類):①著作權及相關權利、②商標、③地理標示、④工業設計(設計專利)、⑤發明專利、⑥積體電路電路布局、⑦未公開揭露資訊之保護(營業秘密)
9条1項前段:WTO加盟国は、ベルヌ条約非締約国であっても、ベルヌ条約1条〜21条及び附属書の規定を遵守する義務を負う(ベルヌ条約プラスアプローチ)。
第9條第1項前段:WTO會員國即使非伯恩公約締約國,亦有義務遵守伯恩公約第1條至第21條及其附錄之規定(伯恩公約加強方式)。
ベルヌ条約6条の2(著作者人格権)については、ベルヌ条約上の義務であってもTRIPS協定上の義務にはならない(大陸法系と英米法系の概念の相違から)。著作者人格権についてのみ、TRIPS協定は「ベルヌ条約マイナス(Berne-minus)」という扱いになる。
伯恩公約第6條之2(著作人格權),雖為伯恩公約義務,但不成為TRIPS協定項下之義務(因大陸法系與英美法系概念不同)。就著作人格權而言,TRIPS協定屬「伯恩公約限縮(Berne-minus)」之處理方式。
ある事業に係る商品若しくはサービスを他の事業に係る商品若しくはサービスから識別することができる標識またはその組合せは、商標とすることができる(15条)。サービスマークを含む。音や匂いは各国の任意。
「使用」は登録要件(登録の条件として使用を要求できる)であり、出願要件ではない。商標の公告・取消し制度を義務付け。与えられる権利(16条)は、標章・商品等が「同一」の場合のみ(類似範囲には適用なし)。
凡得以區別一企業之商品或服務與他企業之商品或服務之標識或其組合,均得構成商標(第15條)。包括服務標章。聲音或氣味標識,會員國無須必然承認。
「使用」為登錄要件(得以使用所取得之識別性作為登錄要件),非申請要件。義務規定商標公告及撤銷制度。所賦予之權利(第16條)僅適用於標識及商品等「相同」之情形,不及於類似範圍。
地理的表示の一般保護(22条):虚偽・誤認を招く使用の禁止。
ぶどう酒及び蒸留酒の地理的表示の追加的保護(23条):誤認招来の有無を問わず保護。
地理標示之一般保護(第22條):禁止虛偽或引人誤認之使用。
葡萄酒及烈酒地理標示之追加保護(第23條):無論是否引人誤認均加以保護。
保護要件(25条):独自性または新規性。意匠権者が権利行使できる対象行為:製造・販売・輸入(26条)。保護期間:10年以上。なお特許権者の権利(28条)は製造・販売・輸入・使用・譲渡の申出を含み、意匠権より広い。
保護要件(第25條):獨自性或新規性。意匠權人得行使權利之行為:製造、銷售或進口(第26條)。保護期間:10年以上。專利權人之權利(第28條)包括製造、銷售、進口、使用及為販賣之要約,比設計更廣。
保護期間(33条):保護期間は、出願日から計算して20年の期間が経過する前に終了してはならない。
特許の除外(27条):公の秩序または善良の風俗を守ることを目的として商業的実施を防止する必要がある発明、人または動物の治療のための診断・治療・外科的方法、微生物以外の動植物、非生物学的方法及び微生物学的方法以外の動植物の生産のための本質的に生物学的な方法を除外できる。
保護期間(第33條):專利保護期間不得於自申請日起計算未滿二十年之前屆滿。
專利之除外(第27條):得除外為維護公共秩序或善良風俗,防止商業實施所必要之發明;人類或動物之診斷、治療及外科方法;微生物以外之動植物;及本質上生物學之動植物生產方法(微生物學方法除外)。
各権利の最低保護期間まとめ / 各權利最低保護期間總覽
| 対象 / 對象 | 保護期間 / 保護期間 | 根拠条文 / 依據條文 |
|---|---|---|
| 著作権 / 著作權 | 原則、著作者の死後50年 / 原則、著作權人過世後50年 | 12条 / 第12條 |
| 商標権 / 商標權 | 少なくとも7年(更新可・無制限)/ 最少7年(可無限續展) | 18条 / 第18條 |
| 意匠権 / 設計專利權 | 少なくとも10年 / 最少10年 | 26条3項 / 第26條第3項 |
| 特許権 / 專利權 | 出願日から20年 / 申請日起20年 | 33条 / 第33條 |
TRIPS協定第III部(41〜61条)は、締約国に対し、知的財産権の効果的な行使を可能にする国内手続を整備することを義務付ける。
TRIPS協定第三部(第41至61條)要求締約國建立能有效執行智慧財產權之國內程序。
| 措置の種類 / 措施種類 | 内容(日本語) | 內容(中文) |
|---|---|---|
| 民事・行政上の救済(41〜49条) | 差止め・損害賠償・廃棄等の民事救済措置を整備する義務 | 建立禁制令、損害賠償、廢棄等民事救濟措施之義務 |
| 証拠保全(50条) | 仮差止命令(暫定措置)による証拠の保全 | 透過暫時禁制令(臨時措施)保全證據 |
| 国境措置(51条) | 不正商標商品・著作権侵害物品の輸入は義務的規制対象 | 仿冒商標商品及著作權侵害物品之進口為強制規制對象 |
| 刑事手続(61条) | 故意による商業的規模の商標・著作権侵害には刑事手続が義務 | 故意商業規模之商標及著作權侵害,義務設置刑事程序 |
①不正商標商品・著作権侵害物品の「輸入」→義務的規制
②知的所有権のその他の侵害物品の「輸入」→任意的規制
③知的所有権侵害物品の「輸出」→任意的規制。類似商標・類似商品の規定なし。
①仿冒商標商品及著作權侵害物品之「進口」→強制規制
②其他侵害智慧財產權物品之「進口」→任意規制
③侵害智慧財產權物品之「出口」→任意規制。無關於類似商標或類似商品之規定。
- 最恵国待遇(4条)はパリ条約・ベルヌ条約にはないTRIPS独自の原則 / 最惠國待遇(第4條)為TRIPS獨有原則,巴黎公約及伯恩公約均無此規定
- ベルヌ条約プラスアプローチ:WTO加盟国はベルヌ条約非批准でも遵守義務あり / 伯恩公約加強方式:WTO會員國即使未批准伯恩公約,亦有遵守義務
- 著作者人格権(ベルヌ6条の2)はTRIPS上の義務ではない(ベルヌマイナス)/ 著作人格權不成為TRIPS義務(伯恩公約限縮方式)
- WTO紛争解決手続による執行担保(パリ条約・ベルヌ条約にはない強力な執行手段)/ 透過WTO爭端解決程序建立執行保障(巴黎公約及伯恩公約所無之強力執行手段)
- 国境措置:不正商標商品・著作権侵害物品の「輸入」は義務的規制、「輸出」は任意的規制 / 邊境措施:仿冒商標商品及著作權侵害物品「進口」為強制規制,「出口」為任意規制
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