台湾のベビーおやつと食品安全問題

台湾のベビーおやつと食品安全問題

 

2021年03月10日

今回は、台湾のベビーおやつについて取り上げたいと思います。日本で有名なベビーおやつのメーカといえば、ピジョンさんや、和光堂さん、キユーピーさんなどを思い浮かべる方が多いと思います。そしてこれらの商品は、台湾においても、ベビー商品を扱っているお店や、インターネットを通じて普通に買うことができます。例えばインターネットで「日本嬰兒餅乾(日本語:日本赤ちゃんお菓子)」と検索すれば、多くの日本メーカのベビーおやつが出てくると思います。また、日本メーカのベビーおやつと並んで、最近では韓国のベビーおやつも人気で、同じく店頭やインターネットにてよく見かけられます。

では、台湾において台湾メーカのベビーおやつは人気がないのか?という問題ですが、前提として、台湾の方は外国のものが好きという傾向があります。そして特に、現地からそのまま輸入されているもの、例えば日本から直輸入されてるものは、「日本原裝進口(日本語:日本直輸入)」と記載されています。この、「日本原裝進口」は、電気製品や、車、食品などでよく目にします。別の言い方をすれば、商品、例えば紙オムツ等には「日本国内版(中国語:日本境内版)」と「日本国外版(中国語:日本境外版)」があり、台湾の方は日本国外版よりも日本人が普段使用する日本国内版を好む傾向があります。では、台湾の方は外国のものが好きだから外国のベビーおやつを買うのかというと、外国のものが好きだという以前に、食品安全の問題を考える必要があります。

台湾における食品安全問題は、よく見かけるニュースになります。以前、台湾において有名な食品安全問題の事件としては、2014年に発生した「頂新黑心油」事件があります。これはいわゆる、品質に問題のある油を他の油と混ぜて販売していたもので、規模が非常に大きく、台湾において有名なお菓子である「乖乖」の製造過程にも使用されており、台湾においてこの問題のある油を口にしなかったものはいないのではないかとまで言われています。ちなみにですが、その後「乖乖」を製造販売する会社は「頂新黑心油」を販売した会社を当該品質に問題のある油のために自社商品が損害を被ったとして訴えを起こしています。その後も、台湾において食品安全問題が相次ぎました。詳しく知りたい方は「台灣近期與歷年來食品安全事件總年表整理」「https://iqc.tw/taiwan-food-safety-incident」(外部サイト)に台湾食品安全問題の年間表一覧がありますので、ぜひご覧ください。

そしてこの食品問題は、ベビーおやつにも及びます。例えば、2020年には、「義峰糙米「米夫」」、「旺仔營養精純米餅量販包」、「三立乳兒米餅」、「喜稼園米餅(糙米)」のベビーおやつから、0.05~0.3 ppmの重金属が検出(大人用は0.4ppm以下であればOK、ただし子供用は更に厳しい基準0.04ppm以下が求められる)されたとして、「食品中污染物質及毒素衛生標準」違反であるとされる事件がありました[1]

また、2021年には、台湾において有名なベビーおやつ「寶寶米餅」を包装する際に、食品用ガスを使用せず、産業用ガスを使用していたとして問題になりました[2]

しかし一方で、台湾において有機栽培された米などを使った台湾のベビーおやつも発売されており、選択肢は増えつつあります。

このように、台湾のベビーおやつも増えてきているものの、食品安全問題等により、まだまだ台湾のベビーおやつは選ばない、選べないという傾向があると考えます。


[1] 自由時報、韋恩的食農生活》消基會抽驗嬰幼兒米餅米麩 4件檢出重金屬鎘超過0.04ppm、2020年12月18日。https://talk.ltn.com.tw/article/breakingnews/3385130(最終検索日 : 2021 年03月07日)。

[2] 許哲瑗、中時新聞網、噁!知名寶寶米餅爆黑心工業氮氣填充 6項產品遭衛生局下架、2021年03月02日。 https://www.chinatimes.com/realtimenews/20210302001724-260402?chdtv(最終検索日 : 2021 年03月07日)。