台湾のバイリンガル政策?

台湾のバイリンガル政策?

 

台湾は、いわゆるシンガポールのようなバイリンガル国家を目指すとしている。

確かに現在台湾都市部における幼少期よりの英語教育には日本も見習うところが多い。日本の小さいときから週一回英語教室に通わすのとは、次元が違うレベルでの英語教育が行われている。

また、台湾では英語のみならず、日本語やフランス語なども幼少期よりの積極的に学んでおり、私自身複数の子供に実際日本語を教えていたことからも日本の外国語教育には危惧を覚える。

今回は、そんな台湾におけるバイリンガル政策を紹介しようと思う。



はじめに

台湾において、2018年12月に国家発展委員会(中国語:國家發展委員會)提案の「バイリンガル国家政策発展設計図(中国語:雙語國家政策發展藍圖)」が行政院を通過した。

これは2030年を目標に、「ニーズに応じた国民の英語力強化」、「デジダル科学による地域資源格差の縮小」、「バイリンガル政策及び母国語文化の発展」、「若者世代の人材競争の優勢化」等4つの理念に基づき、台湾をバイリンガル国家にするものである。

以前は、これらに関する計画として、「英語生活環境建設計画(2002年から2007年)」、「国際生活環境建設計画(2008年から2009年)」、「国民英語力上昇建設計画(2000年から2002年)」があったが、今回これらを引継ぐ形として、新たに計画された。


主な特徴

「バイリンガル国家政策発展設計図」が従来の政策と異なるところは、試験のためのバイリンガルではなく、国家競争力の向上を目標としていることである。そして、学生のみを対象するのではなく、政府公務員等も対象としていることである。


主な内容

これらバイリンガル国家は、共同戦略と個別戦略に基づき実現するものである。

共同戦略には

1.各部公式ホームページの全面バイリンガル化
2.外国人関係文書のバイリンガル化
3.バイリンガル化公共サービスエリアにおける第一線サービスのバイリンガル化
4.政府公開情報のバイリンガル化
5.外国人関係法規のバイリンガル化
6.文化教育機関のバイリンガルサービスの押上
7.公務員の英語コミュニケーション力の育成
8.全国技術士技能検定試験及びライセンスのバイリンガル化


個別戦略には

1.教育体系のバイリンガル化の全面始動をし、柔軟性のある新たな学習形式の創設、教育及び生活活性化の加速、英語人材の充実、デジダル科学の運用による個別学習機会の普及等をもって、教育体系の国際化の推進
2. 英語のテレビチャンネル設立を促進し、テレビ局による英語番組の政策放送の奨励
3.ラジオ局による英語番組の増加
4.バイリンガル観光環境のフレンドリー化の設立
5.政府調達文献のバイリンガル化
6.案件のバイリンガル化の奨励
7.重大案件と台湾在住外国人または外国企業の起訴状に関し、英語の概要を提供する
8. サイエンスパーク及び工業団地におけるバイリンガル投資環境のフレンドリー化
9.医療機関及び福祉団体における英語力の強化
10.金融機関における従業員の英語力向上
11.企業における英語力向上の奨励
12.労働者の英語力向上
13.農業漁業の生産販売に関するバイリンガル力の向上
14.青年及び文化活動におけるバイリンガル交流の推進
15.外交事務員の試験に関する英語科目の比重を重くすること

がある。

バイリンガル政策に基づき、2030年にはすべての小中学校において、英語による完全英語授業の実施をするため、現在は一部の学校で段階的に実施されている。

これらは政策目標であり実際のところは、どうだろうか?

台湾で生活していると、行政機関に出向き手続きすることがある。

行政機関の窓口でやり取りをすると、中央政府の行政機関ならいざしらず、地方公共団体の市役所等では、現在のところ英語が話せるというふうには到底思えない。

私自身は中国語を話すことができるが、台湾に住んでいる人ならわかると思うが、公務員の言うことは毎回かわるため、内心いつもこれは中国語が話せない外国人には無理だろうと思うことが何回もある。

台湾都市部における、幼少期よりのバイリンガル教育の普及により、今の若者が大人になる頃には、かなりの人数がバイリンガルになることは可能であると思う。しかし、もちろん彼ら全員が公務員になるわけではない。問題は、今の公務員はどうするのか?

英語塾に行ったからと言ってバイリンガルになることは不可能だろう。

とすれば、窓口に英語のできる翻訳アルバイトを雇うのか?

方法として現実的なのは翻訳アルバイトを雇うことであるが、それでは目指すバイリンガル国家とは違うものになる。

いずれにしても、2030年になり、本当にバイリンガル政策に基づき、地方公務員が英語を話せるのか?地方の公共団体の窓口がどうなっているのか?もし英語が可能になっているならこのバイリンガル政策は見習うべきである。いずれにせよ、2030年が楽しみである。

以上、今日は台湾のバイリンガル政策を紹介しました。

前の記事

台湾とタクシー?

次の記事

夫婦別姓と台湾?