夫婦別姓と台湾?

夫婦別姓と台湾?

 

日本で話題になっている夫婦別姓問題。

実はこれ、以前台湾でも問題となり改正されました。

日本よりも男女平等が進んでいると言われる台湾の夫婦別姓、どのようになっているのか?

今日はそんな台湾における夫婦別姓制度を紹介します。



はじめに

夫婦別姓制度の前に「冠姓」を知るところから始めます。

台湾には「冠姓」と呼ばれる制度があり、妻が自分の姓の前に夫の姓を付けるものです。

例えば「黄一郎(男性)」さんと「高花子(女性)」さんが結婚すると「黄高花子」さんとなります。

冠姓と夫婦別姓の開始

次に、台湾の民法を見ていきます。

1930年公布の民法第1000条には、

中国語
「妻以其本姓冠以夫姓,贅夫以其本姓冠妻姓。但當事人另有約定者,不在此限。」

日本語訳
「妻はその本姓に夫の姓を冠する、入夫はその本姓に妻の姓を冠する。ただし、当事者に別段の定めがあるときは、この限りではない。」

と規定されており、原則が「冠姓」であることがわかります。


その後1998年にこの規定は、改正され次のようになります。


民法第1000条

中国語
第1項 「夫妻各保有其姓。但得書面約定以其本姓冠以配偶之姓,並向戶政機關登記。
第2項 「冠姓之一方得隨時回復本姓。但於同一婚姻關係存續中以一次為限。」

日本語訳
第1項 「夫婦は、それぞれの姓を保持する。ただし、書面にてその本姓に配偶者の姓を冠することを約定するとともに、戸政機関に登記できる。」
第2項 「冠姓の一方は、随時本姓を回復できる。ただし、同一の婚姻関係存続機関中、一回限りとする。」


そのため、今では台湾の多くの人が夫婦別々の姓になっています。

次に子供の姓はどうなるのか見ていきます。



子供の姓

子供の姓に関しても、1930年公布の民法の規定を見ていきます。


民法第1059条

中国語
第1項 「子女從父姓。」
第2項 「贅夫之子女從母姓,但另有約定者,從其約定。」

日本語訳
第1項 「子は父の姓に従う。」
第2項 「入夫の子は母の姓に従う。ただし、別段の定めがあるときは、その約定に従うものとする。」


1997年にこの規定は改正され、次のようになりました。


民法第1059条

中国語
第1項第1号 「父母於子女出生登記前,應以書面約定子女從父姓或母姓。未約定或約定不成者,於戶政事務所抽籤決定之。」

日本語訳
第1項第1号 「父母は子女の出生登記前に、書面を以て子女を父の姓または母の姓にするか約定しなければならない。約定がないときまたは約定不成立のときは、戸政事務所が抽選でこれを決定する。」


そのため現在は、夫婦で決めることができ、子供の出席届の際に、どちらの姓にするか決定することになります。

しかも決めないときは、抽選になります。

ちなみに、書類はこれになります。

子女姓氏約定書



おわりに

実際、子供の姓は、父親の姓にする事が多いのが実情です。


また以前ネットで、女の子が生まれたときは母親の姓にすることを約束し、実際女の子が生まれので母親の姓にしたが、その後生まれた男の子も母親の姓にすることを許してくれたので私の夫は、良い夫という内容が話題になり、これまた論争になっていました。このようなことから見ても、やはりまだ男性社会が根強く残っているのだなぁと思います。


ただ、夫婦に関しては、今の世代は大多数が別々の姓になっています。


というわけで、今回は台湾の夫婦別姓について紹介しました。