第一部 日本の職務発明制度
第一部 日本職務發明制度
職務発明規定とは、従業者等がその職務に関連して行った発明について、使用者等が特許を受ける権利又は特許権を取得する場合における権利帰属および従業者等に対する相当の利益の付与等を定めることにより、使用者等と従業者等との利益調整を図る制度である。
職務發明制度,係指針對受僱人等於其職務相關範圍內所完成之發明,在使用者等取得專利申請權或專利權之情形下,就權利歸屬以及對受僱人等給予相當利益等事項加以規範,以達成使用者等與受僱人等之間利益調整之制度。
日本特許法第35条(職務発明)対照 / 日本專利法第35條對照
| 日本特許法第35条 | 日本專利法第35條 |
| 1.使用者、法人、国又は地方公共団体(以下「使用者等」という。)は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(以下「職務発明」という。)について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。 | 1.使用者、法人、國家或地方公共團體(以下稱「使用者等」)對於從業者、法人董事、國家公務員或地方公務員(以下稱「從業者等」)所完成之發明,如其性質屬於該使用者等之業務範圍,且完成該發明之行為屬於該從業者等現在或過去職務之範圍者(以下稱「職務發明」),於該職務發明取得專利時,或職務發明之專利申請權之承受人取得該發明專利時,就該專利權享有通常實施權。 |
| 日本特許法第35条 | 日本專利法第35條 |
| 2.従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめ、使用者等に特許を受ける権利を取得させ、使用者等に特許権を承継させ、又は使用者等のため仮専用実施権若しくは専用実施権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。 | 2.關於從業者等所完成之發明,除屬職務發明之情形外,事先約定由使用者等取得專利申請權、承受專利權,或為使用者等設定暫時專屬實施權或專屬實施權之契約、工作規則或其他約定條款,均屬無效。 |
| 日本特許法第35条 | 日本專利法第35條 |
| 3.従業者等がした職務発明については、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、その特許を受ける権利は、その発生した時から当該使用者等に帰属する。 | 3.關於從業者等所完成之職務發明,如契約、工作規則或其他約定中事先規定由使用者等取得專利申請權者,該專利申請權自發生時起,即歸屬於該使用者等。 |
| 日本特許法第35条 | 日本專利法第35條 |
| 4.従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等に特許を受ける権利を取得させ、使用者等に特許権を承継させ、若しくは使用者等のため専用実施権を設定したとき、又は契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等のため仮専用実施権を設定した場合において、第三十四条の二第二項の規定により専用実施権が設定されたものとみなされたときは、相当の金銭その他の経済上の利益(次項及び第七項において「相当の利益」という。)を受ける権利を有する。 | 4.從業者等依據契約、工作規則或其他約定,就職務發明使使用者等取得專利申請權、承受專利權,或為使用者等設定專屬實施權時;或依契約、工作規則或其他約定,為使用者等設定職務發明之暫時專屬實施權,而依第三十四條之二第二項規定視為已設定專屬實施權時,有權受領相當之金錢或其他經濟上利益(以下於第五項及第七項稱「相當利益」)。 |
| 日本特許法第35条 | 日本專利法第35條 |
| 5.契約、勤務規則その他の定めにおいて相当の利益について定める場合には、相当の利益の内容を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況、策定された当該基準の開示の状況、相当の利益の内容の決定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況等を考慮して、その定めたところにより相当の利益を与えることが不合理であると認められるものであつてはならない。 | 5.於契約、工作規則或其他約定中規定相當利益時,應考量下列事項:為決定相當利益內容之基準所進行之使用者等與從業者等間協議之狀況、所制定基準之公開狀況、以及就相當利益內容之決定所進行之從業者等意見聽取狀況等,不得為依該規定給予相當利益而被認定為不合理之內容。 |
| 日本特許法第35条 | 日本專利法第35條 |
| 6.経済産業大臣は、発明を奨励するため、産業構造審議会の意見を聴いて、前項の規定により考慮すべき状況等に関する事項について指針を定め、これを公表するものとする。 | 6.經濟產業大臣為鼓勵發明,應聽取產業結構審議會之意見,就前項規定中應考量之狀況等事項制定指引,並予以公布。 |
| 日本特許法第35条 | 日本專利法第35條 |
| 7.相当の利益についての定めがない場合又はその定めたところにより相当の利益を与えることが第五項の規定により不合理であると認められる場合には、第四項の規定により受けるべき相当の利益の内容は、その発明により使用者等が受けるべき利益の額、その発明に関連して使用者等が行う負担、貢献及び従業者等の処遇その他の事情を考慮して定めなければならない。 | 7.如未就相當利益訂有規定,或依其規定所給予之相當利益依第五項規定被認定為不合理時,第四項所稱應受領之相當利益內容,應考量該發明使使用者等所獲利益之金額、與該發明相關之使用者等所負擔之成本、貢獻、從業者等之待遇及其他一切情況後決定之。 |
職務発明制度とは、企業、大学、研究機関、官公庁などに所属する従業者が、その職務上行った発明について、特許を受ける権利の帰属や発明者への利益還元を定める制度である。
職務發明制度,是指針對企業、大學、研究機構、政府機關等所屬員工於執行職務過程中完成之發明,就其專利申請權之歸屬以及對發明人之利益回饋所建立之法律制度。
そこで日本の特許法は、発明者である従業者の利益を保護するとともに、研究開発投資を行う使用者の利益も保護し、両者の利益の均衡を図ることを目的として職務発明制度を設けている。したがって、職務発明制度は単なる権利帰属のルールではなく、我が国の研究開発活動を支える産業政策的な制度として位置づけられている。
因此,日本專利法設立職務發明制度,目的在於同時保障身為發明人的員工利益,以及投入研究開發資源的雇主利益,藉此達成雙方利益之平衡。職務發明制度不僅是權利歸屬規則,更是一項支撐日本研究開發活動的重要產業政策制度。
職務発明については特許法第35条に規定されている。同条によれば、職務発明とは、従業者等が行った発明であって、その発明が使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為が従業者等の現在又は過去の職務に属する場合をいう。
職務發明規定於日本專利法第35條。所謂職務發明,係指員工等所完成之發明,且該發明屬於雇主等之業務範圍內,並且完成該發明之行為屬於員工目前或過去所從事之職務範圍者。
発明の三区分 / 發明之三種類型
自由発明:使用者の業務範囲に属しない発明。
業務発明:使用者の業務範囲に属する発明で職務発明を除いたもの。
職務発明:その性質上、当該使用者等の業務範囲に属し、かつその発明をするに至った行為が従業者等の現在又は過去の職務に属する発明。
自由發明:不屬於使用者業務範圍之發明。
業務發明:屬於使用者業務範圍之發明,但不包含職務發明。
職務發明:依其性質屬於該使用者等之業務範圍,且該發明之產生行為屬於該從業者等目前或過去職務範圍內之發明。
| 項目 | 昭和34年法(1959) | 平成16年法(2004年改正) | 平成27年法(2015年改正) |
| 権利帰属の基本構造權利歸屬基本架構 | 職務発明の権利は従業者に帰属職務發明之權利先歸屬於受僱人 | 従業者帰属を維持維持由受僱人取得 | 使用者への原始帰属が可能使用者得取得原始歸屬 |
| 対価・利益報酬・利益 | 相当の対価相當對價 | 相当の対価相當對價 | 相当の利益相當利益 |
| 勤務規則の位置づけ工作規則地位 | 法定基準中心以法定標準為中心 | 規程不合理は無効不合理規程無效 | 手続的適正を重視重視程序正當性 |
| 実務上の特徴實務特徵 | 事後判断型事後判斷模式 | 青色LED・オリンパス事件藍色LED・奧林巴斯事件 | 企業裁量拡大擴大企業裁量空間 |
現行特許法第35条の下では、一定の条件を満たす場合、職務発明についての特許を受ける権利を使用者が原始的に取得することができる。そのためには、契約、勤務規則その他の定めによって、あらかじめその旨を規定しておかなければならない。
依現行日本專利法第35條規定,在符合一定條件下,職務發明之專利申請權得由雇主原始取得。惟其前提為必須事先透過契約、工作規則或其他規定明確約定。
また、現在の制度における「相当の利益」は金銭に限定されない。報奨金の支給だけでなく、ストックオプションの付与、昇進や昇格、研究環境の改善なども相当の利益として認められる場合がある。このように、発明者に対する評価や処遇を柔軟に行うことができる点が現行制度の特徴である。
此外,現行制度中的「相當利益」不限於金錢給付。除獎金外,股票選擇權、升遷、職級提升、研究環境改善等措施,亦可能被認定為相當利益。此種多元且具彈性的獎勵方式,乃現行制度的重要特色。
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相当の利益の不合理性判断(第35条第5項)
相當利益不合理性之判斷(第35條第5項)
補償金の種類(金銭以外の相当の利益) / 補償金種類(非金錢形式之相當利益)
(一)使用者等負担による留学の機会の付与(一)由使用者負擔之海外留學機會之提供
(二)ストックオプションの付与(二)股票選擇權(Stock Option)之授予
(三)金銭的処遇の向上を伴う昇進又は昇格(三)伴隨金錢性待遇提升之升遷或晉升
(四)法令及び就業規則所定の日数・期間を超える有給休暇の付与(四)超過法令及就業規則所定日數或期間之有給休假之給予
(五)職務発明に係る特許権についての専用実施権の設定又は通常実施権の許諾(五)就職務發明相關專利權設定專屬實施權或授予通常實施權
※研究費の増額・研究施設の充実・研究環境の整備はガイドラインに例示されていない。「経済上の利益」は発明者個人に与えられる必要があるため、個人に帰属しない利益は「相当の利益」に該当しないと解される。※增加研究經費、充實研究設施及改善研究環境等,並未於本指引中列舉。其理由在於,「經濟上之利益」必須歸屬於發明人個人,不屬於個人之利益原則上不構成「相當利益」。
■ 第35条第5項の不合理性判断の三要素
■ 第35條第5項不合理性判斷之三要素
▶ 第一 協議の状況 ▶ 第一 協議之狀況
「相当の利益」の内容を決定するための基準策定に際して、使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況が考慮される。基準適用の対象となる従業者全員に対して実質的に発言・意見の機会が与えられていたかが重視される。
「相當利益」內容決定之基準在制定時,協議之狀況為重要考量。重點在於是否對所有適用對象之従業者實質上提供發言及表達意見之機會,不限定形式或方法。
▶ 第二 基準の開示の状況 ▶ 第二 基準之開示狀況
策定された当該基準の「開示の状況」が考慮される。策定された基準を当該基準が適用される各従業者等に対してイントラネット等で提示することを意味し、個人用電子機器を与えられていない従業者等に対する適正な開示方法も求められる。
「基準之開示狀況」亦為考量因素。係指將已制定之基準向各従業者公開,例如透過內部網路揭示等方式,並應確保未配備個人電子設備之従業者亦可接觸內容。
▶ 第三 従業者からの意見の聴取の状況 ▶ 第三 従業者意見之聽取狀況
「相当の利益」の内容の決定について行われる従業者等からの「意見の聴取」の状況が考慮される。使用者等が従業者からの提出意見に対して真摯に回答を行ったと認められない場合には、不合理性が肯定される方向に働く。
「従業者意見之聽取狀況」亦屬重要考量。若使用者對従業者所提出之意見未能真誠回應,則可能傾向認定為不合理。
青色発光ダイオード事件とは、職務発明制度における「相当の対価」の在り方をめぐり、日本社会に極めて大きな衝撃を与えた代表的判例である。日亜化学工業の元従業員である中村修二が、青色発光ダイオード(Blue LED)関連発明について巨額の対価請求を行った事件であり、東京地方裁判所平成16年1月30日判決およびその後の控訴審和解によって広く知られるようになった。
東京地方裁判所は、本件発明によって日亜化学工業が極めて巨大な利益を得たことを認定した上で、発明者である中村修二の貢獻を非常に高く評価し、約604億円もの「相当の対価」が認められる可能性を示した。もっとも、控訴審である知的財産高等裁判所において、最終的には約8億4千万円で和解が成立した。
青色發光二極體事件,是關於職務發明制度中「相當對價」應如何衡量,對日本社會造成極大衝擊的代表性判例。前日亞化學工業公司員工中村修二,就青色發光二極體(Blue LED)相關發明提出巨額對價請求之案件,以東京地方法院平成16年1月30日判決及其後之二審和解而廣為人知。
東京地方法院認定,本發明為日亞化學工業帶來極為龐大之利益,並高度評價發明人中村修二之貢獻,認為「相當對價」可能高達約604億日圓。然而,在二審之知的財産高等裁判所,最終以約8億4千萬日圓達成和解。
判例の意義 / 判例意義
裁判所は和解勧告の中で、発明には発明者個人だけでなく、企業の研究環境、上司や同僚の支援、長年の設備投資、組織的研究体制などが不可欠であることを強調した。これは、発明を「個人の天才的成果」のみとして理解するのではなく、「企業組織による共同成果」として捉える方向を示したものと評価されている。
法院在和解建議中強調,發明並非僅屬個人天才之成果,同時亦仰賴企業之研究環境、上司與同事之支援、長期設備投資以及組織性研究體制等因素。此一見解被認為係將發明理解為「企業組織的共同成果」,而非單純個人創造之轉向。
■ オリンパス光学工業事件
■ 奧林巴斯光學工業事件
オリンパス光学工業の従業員であった発明者は、ビデオディスク関連技術「ピックアップ装置」の職務発明を完成させた。会社は社内の発明考案取扱規程に基づき特許を受ける権利を承継し、発明者に対して合計約21万円を支払ったが、発明者は「社内規程の金額では特許法上の『相当の対価』に達していない」として不足額の支払いを請求した。
最高裁は、企業の社内規程によって対価額を定めていたとしても、その定めが当然に発明者を拘束するものではないと判示した。現実に支払われた金額が法の予定する「相当の対価」に不足する場合には、従業者は不足分を請求できるとし、最終的な「相当性」の判断権限は司法にあるとされたのである。
奧林巴斯光學工業之従業員發明人,完成了「拾取裝置(pickup device)」職務發明。公司依據內部規程,承接專利申請權並向發明人支付合計約21萬日圓。發明人主張該金額未達專利法所要求之「相當對價」,因此請求支付不足部分。
最高法院判示,即使企業已依內部規程決定對價金額,該規定亦不當然對發明人具有拘束力。若實際支付金額未達「相當對價」,従業員仍得請求不足部分。最終「相當性」之判斷權仍屬司法機關。
本件は、野村証券の従業者が在職中に行った発明(電子注文の伝送遅延を低減する方法等)について、特許法第35条に基づき相当の対価の支払を請求した事案である。請求額は約286億円余に及んだ。裁判所は、本件発明規程は従業者の意見が反映される形で策定されたとは認められず、また対価の算定基準が従業者に事前に開示されていなかったことから、手続的公正を欠くとして不合理と判断した。
もっとも、相当対価の具体的内容の判断においては、本件発明については実施による排他的利益は認められず、また将来的にもその発生可能性はないと認定した。したがって、使用者に帰属すべき独占的利益を前提とする相当対価請求は成立せず、従業者の請求は認められなかった。
本案係野村證券之員工,針對其在職期間所完成之發明(有關降低電子訂單傳輸延遲之方法等),依特許法第35條請求支付相當對價,請求金額約達286億日圓。法院認定,本件發明規程之制定並未反映従業者之意見,且就具體對價計算基準亦未事前向従業者公開,已違反程序正當性,因此認定本件為不合理。
然而,在進一步判斷相當對價內容時,法院認定本件發明並未產生實際之排他性利益,且於將來亦無發生該等利益之可能性。因此,相當對價請求不成立,最終未予支持従業者之請求。
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第二部 台湾の職務発明制度
第二部 臺灣職務發明制度
台湾専利法第7・8・9条(職務発明関連)対照 / 台灣專利法第7・8・9條對照
| 台湾専利法第7条 | 台灣專利法第7條 |
| 1.従業者が職務上完成した発明、実用新案又は意匠について、その特許出願権及び特許権は雇用者に帰属し、雇用者は従業者に相当の対価を支払わなければならない。ただし、契約で別段の約定がある場合は、それに従う。 | 1.受雇人於職務上所完成之發明、新型或設計,其專利申請權及專利權屬於雇用人,雇用人應支付受雇人適當之報酬。但契約另有約定者,從其約定。 |
| 2.前項の職務上完成した発明、実用新案又は意匠とは、従業者が雇用関係下の業務で完成した発明、実用新案又は意匠を指す。 | 2.前項所稱職務上之發明、新型或設計,指受雇人於僱傭關係中之工作所完成之發明、新型或設計。 |
| 3.一方が出資し、他人を招聘して研究開発に従事させる場合、その特許出願権及び特許権の帰属は双方の契約の約定に従う。契約に約定がない場合、特許権は発明者、実用新案の考案者又は意匠の創作者に帰属する。ただし、出資者は、その発明、実用新案又は意匠を実施することができる。 | 3.一方出資聘請他人從事研究開發者,其專利申請權及專利權之歸屬依雙方契約約定;契約未約定者,屬於發明人、新型創作人或設計人。但出資人得實施其發明、新型或設計。 |
| 4.第1項、前項の規定により、特許出願権及び特許権が雇用者又は出資者に帰属する場合、発明者、実用新案の考案者又は意匠の創作者は氏名表示権を享有する。 | 4.依第一項、前項之規定,專利申請權及專利權歸屬於雇用人或出資人者,發明人、新型創作人或設計人享有姓名表示權。 |
| 台湾専利法第8条 | 台灣專利法第8條 |
| 1.従業者が職務上完成したものではない発明、実用新案又は意匠について、その特許出願権及び特許権は従業者に帰属する。ただし、その発明、実用新案又は意匠が雇用者の資源又は経験を利用したものである場合、雇用者が従業者に相当の対価を支払えば、当該事業者においてその発明、実用新案又は意匠を実施することができる。 | 1.受雇人於非職務上所完成之發明、新型或設計,其專利申請權及專利權屬於受雇人。但其發明、新型或設計係利用雇用人資源或經驗者,雇用人得於支付合理報酬後,於該事業實施其發明、新型或設計。 |
| 2.従業者が職務外で発明、実用新案又は意匠を完成した場合は、直ちに書面で雇用者に通知しなければならない。必要があれば、創作の過程についても告知しなければならない。 | 2.受雇人完成非職務上之發明、新型或設計,應即以書面通知雇用人,如有必要並應告知創作之過程。 |
| 3.前項の書面通知送達後6ヶ月以内に、雇用者が従業者に反対の意を示さなければ、当該発明、実用新案又は意匠が職務上の発明、実用新案又は意匠であると主張することができない。 | 3.雇用人於前項書面通知到達後六個月內,未向受雇人為反對之表示者,不得主張該發明、新型或設計為職務上發明、新型或設計。 |
| 台湾専利法第9条 | 台灣專利法第9條 |
| 前条の雇用者と従業者の間で締結された契約で、従業者がその発明、実用新案又は意匠の権益を享受できないように定めるものは、無効とする。 | 前條雇用人與受雇人間所訂契約,使受雇人不得享受其發明、新型或設計之權益者,無效。 |
台湾の職務発明制度の最大の特徴は、原則として「使用者原始取得主義」を採用している点にある。すなわち、職務発明に該当する発明については、特許を受ける権利が発明完成時から直接使用者に帰属するのであり、発明者に帰属した後に会社へ移転する構造ではない。台湾専利法(特許法)は、研究開発投資を行う使用者の利益を保護するとともに、発明を行った従業員の利益も保護し、両者の利益の調整を図ることを目的として職務発明制度を設けている。
臺灣職務發明制度最大的特色,在於原則上採取「雇主原始取得主義(使用者原始取得主義)」。亦即,符合職務發明要件之發明,其專利申請權自發明完成時起即歸屬於雇主,而非先歸屬於發明人再移轉給公司。臺灣《專利法》透過職務發明制度,一方面保障雇主投入研究開發所形成的利益,另一方面也保障發明人應獲得之合理回饋,以達成雙方利益之平衡。
▶(1)職務発明 ▶(一)職務發明
職務発明とは、従業員が雇用契約や会社の指示に基づき、研究開発、製品開発、生産活動などの業務を遂行する過程で完成した発明をいう。この場合、勤務時間内に完成したか否か、会社内で完成したか否かは本質的な問題ではない。重要なのは、その発明が会社の業務と実質的に関連しているかどうかである。
所謂職務發明,是指員工依據僱傭契約、工作內容或公司指示,在從事研究開發、生產技術改良或產品開發等業務過程中完成之發明。此時,發明是否在上班時間或公司內完成,並非判斷重點。真正重要的是該發明是否與公司業務具有實質關聯。
▶(2)職務外発明(非職務発明) ▶(二)非職務發明
職務外発明とは、会社業務とは無関係であり、かつ会社の指示によらず、従業員が自主的に行った発明をいう。台湾法は職務外発明について従業員の権利を強く保護しており、事前の権利放棄特約を無効とする(専利法第9条)。
非職務發明則是指與公司業務無關,且非基於公司指示,由員工自行完成之發明。臺灣法對於非職務發明之保護相當強,《專利法》第9條規定,若契約要求員工預先放棄非職務發明權利,該約定無效。
台湾専利法第7条第1項は、職務発明について「特許出願権及び特許権は使用者に属する」と規定している。そのため、台湾法は使用者原始取得主義を採用しており、職務発明が完成した時点で特許を受ける権利は直接会社に帰属し、後から譲渡手続を行う必要はない。
依據《專利法》第7條第1項規定:「受雇人於職務上所完成之發明、新型或設計,其專利申請權及專利權屬於雇用人。」因此,臺灣法採取使用者原始取得主義,職務發明完成時,專利申請權直接歸屬於公司,不必再透過契約或讓與程序移轉。
もっとも、会社には発明者である従業員に対して「適当な報酬(適當之報酬)」を支払う義務がある。また、発明者としての氏名表示権は発明者本人に帰属し、譲渡や放棄の対象とはならない。
然而,法律同時要求公司必須給予發明人「適當報酬(適當之報酬)」。此外,發明人的姓名表示權仍屬於發明人本人,具有人格權性質,不得轉讓或放棄。
実務上、職務発明の報酬制度については主として「定額法」「採点法」「累計法」の三つの算定方式が採用されている。
實務上,職務發明報酬之計算方式主要可分為「定額法」、「評點法」及「累計法」三種。
▶(1)定額法 ▶(一)定額法
定額法とは、発明の価値や企業利益の大小にかかわらず、あらかじめ定められた一定額を発明者へ支払う方法である。制度設計が容易であり、現在の台湾企業実務において最も広く採用されている方式である。
所謂定額法,係指不論發明價值高低或企業獲利多寡,均依預先規定之固定金額支付予發明人之方式。由於制度設計簡單明確,因此為臺灣企業實務上最普遍採用之方式。
▶(2)採点法 ▶(二)評點法
採点法とは、発明の技術的水準、完成難易度、経済的価値、市場性などを総合的に評価し、その評価結果に応じて報酬額を決定する方式である。個々の発明の価値をより適切に反映できるという利点を有するが、評価基準の客観性や透明性の確保が課題となる。
評點法係依據發明之技術水準、完成難易度、經濟價值、市場潛力等因素進行綜合評估,再依評分結果決定報酬金額。此方法較能反映個別發明之實際價值,但評分標準是否客觀、公平及透明,常成為制度運作上之重要課題。
▶(3)累計法 ▶(三)累計法
累計法とは、発明が実際に事業へ利用された後に企業が得た利益を基礎として、一定割合を乗じて報酬額を算出する方式である。企業実務では報酬額が過度に高額となることを防ぐため、上限額が設けられることが一般的である。
累計法則以發明實際運用後所產生之企業利益為基礎,再依一定比例計算發明人應得之報酬。惟企業實務上通常會設定最高上限,以避免報酬金額過度膨脹。
累計法の計算例 / 累計法計算範例
利益200万台湾ドル以下:8%利潤200萬元以下部分:8%
200万台湾ドル超~500万台湾ドル以下:5%超過200萬元至500萬元部分:5%
500万台湾ドル超部分:2%超過500萬元部分:2%
(参考:公益財団法人 日本台湾交流協会「台湾での職務規定における知的財産の取扱いについて」2018年3月)
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通知義務制度・会社資源を利用した職務外発明
通知義務制度・利用公司資源之非職務發明
▶ 通知義務制度(専利法第8条第2・3項) ▶ 通知義務制度(專利法第8條第2・3項)
台湾法には、日本法には存在しない特徴として「通知義務制度」が設けられている。専利法第8条第2項によれば、従業員が職務外発明を完成した場合には、速やかに書面で会社へ通知し、必要に応じて創作過程について説明しなければならない。そして、会社が通知受領後6か月以内に異議を述べなかった場合、その後に当該発明が職務発明であると主張することはできなくなる。
臺灣法具有日本法所沒有的重要特色,即「通知義務制度」。依據《專利法》第8條第2項規定,員工完成非職務發明後,應立即以書面通知公司,必要時並應說明其創作過程。若公司於收到通知後六個月內未提出異議,日後即不得再主張該發明屬於職務發明。此制度之目的在於及早確認權利歸屬,避免未來發生爭議。
▶ 会社資源を利用した職務外発明(専利法第8条第1項但書) ▶ 利用公司資源之非職務發明(專利法第8條第1項但書)
職務外発明であっても、会社の設備や技術情報などを利用して完成された場合には、会社にも一定の保護が与えられる。専利法第8条第1項但書によれば、会社は合理的な報酬を支払うことを条件として、その発明を事業上実施することができる。もっとも、この権利は通常実施権(非独占的ライセンス)にとどまる。
雖然非職務發明原則上歸屬員工,但若發明係利用公司設備、技術資料等完成,法律仍給予公司一定保障。依據《專利法》第8條第1項但書,公司得支付合理報酬後,於其事業範圍內實施該發明。不過,此項權利僅屬於通常實施權(非專屬授權)。
| 関係 | 発明区分 | 権利帰属・内容 |
| 雇用関係僱傭關係 | 職務上発明職務發明 | 特許出願権及び特許権は会社に属する(契約で別途約定可)。氏名表示権は従業員に属する。專利申請權及專利權歸屬公司(得以契約另行約定)。姓名表示權歸屬員工。 |
| 雇用関係僱傭關係 | 職務外発明非職務發明 | 特許出願権・特許権・氏名表示権はいずれも従業員に属し、事前放棄特約は無効。但し従業員は通知義務を負う。專利申請權、專利權及姓名表示權均歸屬員工,事先拋棄特約無效,但員工負有通知義務。 |
| 雇用関係僱傭關係 | 会社資源利用の職務外発明利用公司資源之非職務發明 | 会社の資源又は経験を利用して完成したときは、当該事業においてその発明を実施することができる(通常実施権)。ただし、合理的な報酬の支払いが必要。若利用公司資源或經驗完成發明,公司得於其事業範圍內實施該發明(通常實施權)。但公司應支付合理報酬。 |
| 招聘関係招聘關係 | (区分なし)(無區分) | 特許出願権及び特許権は受託者に属する(契約で別途約定可)。ただし出資者は実施することができる。氏名表示権は受託者に属する。專利申請權及專利權歸屬受聘人(得以契約另行約定),但出資人得實施該發明。姓名表示權歸屬受聘人。 |
本件は、晶元光電股份有限公司(Epistar)の元従業員である発明者が、在職中に完成した職務発明について、会社が当該特許を利用して巨額の利益を得ているにもかかわらず、十分な報酬が支払われていないとして、追加の職務発明報酬を請求した事案である。
智慧財産及商業法院は、台湾専利法第7条第1項について、「職務発明の権利は使用者に帰属するが、契約で報酬制度を定めている場合には、その契約内容を優先する」と判断した。本件では会社の発明奨励規程に基づき、発明者に対して既に報奨金が支払われていたことから、追加請求を認めなかった。
さらに裁判所は、従業員は会社の研究設備や資源を利用して発明を完成している一方、会社側は研究開発費用や事業リスクを負担していることを指摘し、本件報奨制度は著しく不合理または不公平とはいえないと判断した。
本案係晶元光電股份有限公司之前員工,就其任職期間完成之職務上發明,主張公司利用該專利獲取龐大利益,惟其本人未獲得充分報酬,因此請求追加職務發明報酬之案件。
智慧財産及商業法院認為,臺灣專利法第7條第1項之意旨在於:職務發明之權利原則上歸屬於雇用人,但若契約對於報酬制度已有約定,則應優先適用該契約內容。本件中,公司已依發明獎勵辦法向發明人支付相關獎金,因此發明人再請求追加報酬,難認有理由。
法院亦指出,員工雖完成發明,但其係利用公司之研究設備、技術資源及組織環境進行研發;相對地,公司亦須承擔龐大之研發費用及市場風險。綜合考量雙方利益與負擔後,法院認為本件獎勵制度並未達顯失公平或明顯不合理之程度,因此駁回發明人之請求。
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日本の職務発明制度は、「発明者主義」を採用している。つまり、職務発明であっても、原則として最初に権利を取得するのは発明者本人であり、会社は契約や就業規則によってその権利を取得する構造となっている。また、日本法は近年、「手続的公正」を重視する方向へ発展している。特に2015年改正後は、会社が従業員との協議、制度内容の開示、意見聴取などを適切に行っていれば、その報酬制度を尊重する考え方が強まった。
日本的職務發明制度採取「發明人主義」。亦即,即使屬於職務發明,原則上最初取得權利者仍為發明人本人,而公司則透過契約或工作規則取得該項權利。此外,日本法近年來逐漸朝向重視「程序正義(程序公正)」的方向發展。尤其在2015年修法之後,只要公司已適當進行與員工之協商、制度內容之公開以及意見聽取等程序,則其所建立之報酬制度將受到較大程度之尊重。
台湾の職務発明制度は、「使用者原始取得主義」を採用している。つまり、従業員が職務上行った発明については、原則として最初から会社側に権利が帰属する構造となっている。その代わり、会社は発明者に対して「適当報酬」を支払う義務を負う。もっとも、台湾の裁判実務では、適当報酬を判断する際に、単に発明の価値だけではなく、給与、昇進、株式報酬など、会社から受けていた待遇全体を総合的に考慮する傾向がある。
臺灣的職務發明制度採取「使用者原始取得主義」。亦即,員工於職務上所完成之發明,其權利原則上自始即歸屬於公司所有。作為交換,公司則負有向發明人支付「適當報酬」之義務。然而,在臺灣的司法實務中,法院於判斷是否已給付適當報酬時,並非僅考量發明本身之價值,而是傾向綜合考量發明人自公司所獲得之整體待遇,例如薪資、升遷、股票獎酬等因素。
| 比較項目 | 日本 | 台湾 / 臺灣 |
| 権利の原始帰属權利的原始歸屬 | 従業者に原始帰属。使用者は契約等により承継取得發明人原始取得,使用者依契約承繼 | 雇用者に原始帰属(法律上当然に帰属)雇用人原始取得(法律上當然歸屬) |
| 帰属の方式歸屬方式 | 事前の契約・勤務規則等が必要需事先訂定契約或工作規則 | 法律上当然に帰属(契約で変更可)法律上當然歸屬(契約得另行約定) |
| 補償金の性質補償金性質 | 「相当の利益」(2015年改正):金銭に限らず株式等でも可「相當利益」:不限於金錢,股票等均可 | 「適当な報酬(適當之報酬)」:金銭的補償が中心「適當報酬」:以金錢補償為主 |
| 補償額の決定補償額決定方式 | 使用者が手続を経て定める。不合理な場合は無効使用者依程序決定,顯失合理者無效 | 当事者の合意または訴訟で決定依當事者合意或訴訟決定 |
| 通知義務通知義務 | 明示規定なし無明文規定 | 職務外発明完成後は書面通知義務あり(第8条第2項)非職務發明完成後須書面通知(第8條第2項) |
| 自由発明・職務外発明非職務發明 | 従業者に帰属(使用者は原則取得不可)歸屬發明人(使用者原則不得取得) | 受雇人に帰属。事前放棄特約は無効(第9条)歸屬受雇人,事先拋棄特約無效(第9條) |