【判例研究】江差追分事件

【判例研究】江差追分事件

日本最高裁判所第一小法庭 平成11年(受)第922號 平成13年6月28日判決(民集55卷4號837頁)

【判例研究】江差追分事件(北方波濤之歌事件)

語言著作物翻案判斷基準之確立——「表現上本質特徵直接感受性」與「思想・表現二分原則」之交錯適用

一、緒論:本判決之歷史地位

在著作權法中,翻案權侵害之判斷,即使於兩著作間具有一定程度之相似性,仍須進一步區分其相似部分究竟屬於著作權法所保護之「表達」,抑或僅屬於不受保護之「思想或創意(Idea)」。如何劃定兩者之界線,乃日本著作權法翻案理論之核心課題,亦為歷年來判例與學說持續累積與發展之重要議題。針對此一問題,日本最高法院首次提出完整且體系化判斷基準者,即為著名之江差追分事件(〈在北方波濤中歌唱〉事件)。本判決不僅為日本著作權法史上最重要且引用最為頻繁之判例之一,更被定位為確立翻案權侵害判斷基本法理之指導性判例(Leading Case),對其後日本翻案權侵害訴訟之發展具有深遠影響。本判決最重要之貢獻,在於其一方面提出「是否能直接感得既有著作表達上之本質性特徵」作為認定翻案之積極判斷基準;另一方面,亦明確採納「思想與表達二分法(Idea–Expression Dichotomy)」之法理,指出思想、感情本身、一般性表達方式及創意(Idea),均非著作權法所保護之客體。換言之,本判決係在明確區分受保護之「表達」與不受保護之「思想」之基礎上,排除源自思想層面之共同性,僅於既有著作之表達上本質性特徵得以被直接感知時,始認定構成翻案。由此可見,「表達上本質性特徵之直接感得性」此一積極判斷要件,與「思想與表達二分法」此一消極限制原理,相互補充並共同構成翻案成立之雙重判斷架構。迄今,日本各級法院於審理翻案權侵害案件時,仍廣泛援用本判決所建立之法理。本判決作為奠定現代日本著作權法翻案概念之歷史性判例,具有極為重要之理論與實務意義。/p>

二、事實關係

本件被上告人木內宏,係以北海道著名民謠「江差追分」為題材之報導文學書籍「北方波濤之歌」之作者。該書籍收錄之短篇「九月的熱風」,其開頭部分(本件序言)描寫作者首度前往觀賞「江差追分全國大會」時,與會者及觀眾之情狀,以獨特之熱情與感動為主軸,描繪江差町過去因鯡魚漁業而繁榮、其後鯡魚漁業式微而風華不再之今昔對比,並將江差追分全國大會,定位為往昔繁華彷彿重現之一年中最高潮之時刻。上告人日本放送協會(NHK)等,製作題名為「北海道特輯・遙遠歐亞大陸之歌聲——追尋江差追分之根源」之電視節目(本件節目),並於平成2年(1990年)10月18日播出,該節目係以本件書籍為參考文獻之一,並依據其內容而製作,惟節目中並未言及此一依據關係。被上告人主張,本件節目之旁白(本件旁白),構成對本件序言之翻案,侵害其翻案權、播送權及姓名表示權,訴請損害賠償。

下級審之判斷

第一審(東京地方裁判所平成8年9月30日判決)及第二審(東京高等法院平成11年3月30日判決)均認定本件旁白構成翻案,理由略為:其一,本件旁白依循本件序言相同之骨幹順序記述,內容有所共通;其二,「江差町一年中最熱鬧之時刻係江差追分全國大會舉辦之時」此一認知,與江差町居民之一般性見解有所出入(一般認為8月姥神神社祭典方為江差町最熱鬧之盛事),此係被上告人對江差追分懷抱特殊熱情所生之獨特認識,而本件旁白竟與此一有別於一般認知之特殊見解相共通;其三,外部表現形式上亦多有近似之處。基此,下級審均認定得直接感受本件序言表現形式上之本質特徵,構成翻案,判命上告人負損害賠償責任。

三、爭點

本件之核心爭點為:判斷語言著作物是否構成翻案(著作權法第27條)之具體標準為何?尤其係於既存著作物與被控侵權作品間,存在若干共通要素之情形下,此等共通要素之性質(究屬受著作權法保護之「表現」,抑或屬不受保護之「思想、感情、觀念、事實」等),應如何具體審查及區辨?

四、最高法院之判斷

(一)翻案定義之確立——「表現上本質特徵直接感受性」基準

【要旨1】語言著作物之翻案(著作權法第27條),係指依據既存之著作物,並維持其表現上本質特徵之同一性,就具體表現加以修正、增減、變更等,藉以新創作思想或感情之表現,使接觸者得直接感受既存著作物表現上本質特徵之另一著作物之創作行為。

此部分判旨,實質上係將ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件所確立之「依據性」要件,與翻案概念之積極內涵相結合,形成完整之翻案判斷公式:翻案之成立,須同時具備(一)依據既存著作物之事實(依據性)、(二)維持既存著作物表現上本質特徵之同一性、(三)加入新的創作性表現、(四)接觸者得直接感受既存著作物表現上本質特徵此四項要素。

(二)思想・表現二分原則之明確化——本判決最具創見之部分

【要旨2】既存之語言著作物中,凡屬思想、感情或觀念、事實或事件等非表現本身之部分,或表現上不具創作性之部分,僅因此等部分與既存著作物具備同一性,尚不構成該既存著作物之翻案。

此為本判決之核心創見,亦係其推翻下級審見解之關鍵論理。最高法院具體指出:本件序言與本件旁白間確實存在若干共通之處,惟此等共通之處,究其實質,多屬「思想、觀念或事實」之範疇,而非受著作權法保護之「創作性表現」本身。就本件而言,最高法院逐一剖析:其一,「江差町昔日因鯡魚漁業而繁榮、其繁華程度甚至超越江戶、其後鯡魚漁業式微而風華不再」此一事實描述,屬於一般性之知識,不具創作性;其二,「將江差追分全國大會定位為往昔繁華重現之一年中最高潮」此一認識,縱使確與江差町居民之一般見解有異,而係被上告人個人獨特之見解,然此一「見解」或「認識」本身,仍屬著作權法上不受保護之「思想」或「觀念」範疇,任何人均得自由表明與被上告人相同之認識或見解,此並非著作權法所禁止之事;其三,就描述過去繁華及當前風貌之敘事順序(先今昔對比、後將特定活動定位為往昔繁華重現之高潮)而言,此一敘事構成方式本身亦屬一般性、常見之敘事手法,不具特殊創作性;其四,於扣除前開不受保護之思想、觀念、事實及陳腐敘事構成後,本件旁白於具體表現用語上,與本件序言已生相當差異,難認已達使人直接感受本件序言表現形式上本質特徵之程度。

(三)結論

基此,最高法院認定,本件旁白與本件序言間,僅止於思想、觀念、事實及不具創作性表現部分之同一,並非受著作權法保護之創作性表現本身之同一,故本件旁白不構成本件序言之翻案,廢棄原判決並駁回被上告人之請求。

最高裁判所第一小法廷 平成11年(受)第922号 平成13年6月28日判決(民集55巻4号837頁)

【判例研究】江差追分事件(北の波濤に唄う事件)

言語の著作物の翻案判断基準の確立——「表現上の本質的な特徴の直接感得性」と「思想・表現二分論」の交錯適用

一、緒論:本判決の歴史的地位

著作権法における翻案権侵害の判断は、著作物間に一定の類似性が認められる場合であっても、その類似部分が著作権法により保護される「表現」に属するのか、それとも保護対象外である「思想・アイデア」にとどまるのかを区別する必要がある。この境界線をいかに画するかは、日本著作権法における翻案論の中核的課題であり、長年にわたり判例・学説の蓄積が重ねられてきた。この問題に対して、日本最高裁判所が初めて包括的かつ体系的な判断基準を示したのが、いわゆる**江差追分事件(北の波濤に唄う事件)**である。本判決は、日本著作権法史上最も重要かつ最も頻繁に引用される判例の一つであり、その後の翻案権侵害訴訟における基本法理を確立したリーディングケースとして位置付けられている。本判決の最大の意義は、翻案該当性の判断基準として、「既存著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるか」という積極的判断基準を示すとともに、「思想・感情そのものやありふれた表現、アイデアは著作権法の保護対象ではない」とする思想・表現二分論を明確に採用した点にある。すなわち、本判決は、保護される「表現」と保護されない「思想」とを峻別した上で、後者に由来する共通性を排除し、前者に由来する本質的特徴が直接感得される場合にのみ翻案を認めるという判断枠組みを確立したのである。このように、「表現上の本質的な特徴の直接感得性」という積極的要件と、「思想・表現二分論」という消極的限定原理とは、相互に補完し合いながら翻案該当性を判断するための二本柱を形成しており、今日に至るまで日本の各級裁判所が翻案権侵害事件を審理する際の基本的な法理として広く援用されている。本判決は、現代日本著作権法における翻案概念の基礎を確立した歴史的判例として極めて重要な意義を有する。

二、事実関係

本件被上告人木内宏氏は、北海道の著名な民謡「江差追分」を題材としたノンフィクション書籍「北の波濤に唄う」の著者である。同書籍に収録された短編「九月の熱風」の冒頭部分(本件プロローグ)は、著者が初めて「江差追分全国大会」を観覧しに行った際の、大会の参加者や観客の様子等を、独特の熱狂と感動を主軸として描写し、江差町がかつてニシン漁で栄え、その賑わいは江戸にもないといわれたほどの豊かな町であったこと、その後ニシン漁が振るわなくなり、その面影がなくなったという今昔の対比を描き、江差追分全国大会を、昔日の栄華がよみがえったような一年の絶頂の時として位置づけるものであった。上告人日本放送協会(NHK)等は、「ほっかいどうスペシャル・遙かなるユーラシアの歌声——江差追分のルーツを求めて——」と題するテレビ番組(本件番組)を製作し、平成2年(1990年)10月18日に放送した。同番組は本件書籍を参考文献の一つとし、これに依拠して製作されたものであったが、番組内においてこの依拠関係についての言及はなかった。被上告人は、本件番組のナレーション(本件ナレーション)が本件プロローグの翻案に当たり、自己の翻案権、放送権及び氏名表示権を侵害するものであると主張し、損害賠償を求めて提訴した。

下級審の判断

第一審(東京地方裁判所平成8年9月30日判決)及び第二審(東京高等裁判所平成11年3月30日判決)はいずれも本件ナレーションが翻案に当たると認定した。その理由は概ね次のとおりである。第一に、本件ナレーションが本件プロローグと同じ骨子の順序で記述されており、内容において共通している。第二に、「江差町において一年で最も賑わうのが江差追分全国大会が開催される時である」というこの認識は、江差町民の一般的な見解とは異なるものであり(一般には8月の姥神神社の夏祭りが江差町における最も賑わう行事であるとされる)、これは被上告人が江差追分に対して抱く特別な情熱から生じた独特の認識であるところ、本件ナレーションはこの一般の認識とは異なる特殊な見解と共通するものであった。第三に、外面的な表現形式においてもほぼ類似する部分が多い。これに基づき下級審はいずれも、本件プロローグの表現形式上の本質的な特徴を直接感得することができるとして、翻案に当たると認定し、上告人に損害賠償を命じた。

三、争点

本件の核心的な争点は、言語の著作物が翻案(著作権法第27条)に当たるか否かを判断するための具体的な基準は何か、とりわけ既存の著作物と被疑侵害作品との間に若干の共通する要素が存在する場合、これらの共通する要素の性質(著作権法上保護される「表現」に当たるのか、それとも保護されない「思想、感情、観念、事実」等に当たるのか)を、いかに具体的に審査し区別すべきか、という点にある。

四、最高裁判所の判断

(一)翻案の定義の確立——「表現上の本質的な特徴の直接感得性」の基準

【要旨1】言語の著作物の翻案(著作権法27条)とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。

この部分の判旨は、実質的にワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件が確立した「依拠性」の要件と、翻案概念の積極的な内実とを結び付け、完全な翻案判断の公式を形成するものである。翻案の成立には、(一)既存の著作物に依拠したという事実(依拠性)、(二)既存の著作物の表現上の本質的な特徴の同一性の維持、(三)新たな創作的表現の付加、(四)接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得できることという、四つの要素が同時に備わっていることを要する。

(二)思想・表現二分原則の明確化——本判決の最も独創的な部分

【要旨2】既存の言語の著作物のうち、思想、感情若しくはアイデア、事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において、既存の著作物と同一性を有するにすぎない著作物を創作する行為は、既存の著作物の翻案には当たらない。

これが本判決の核心的な独創性であり、また下級審の見解を覆した鍵となる論理でもある。最高裁判所は具体的に次のとおり指摘した。本件プロローグと本件ナレーションとの間には確かに若干の共通する部分が存在するが、これらの共通する部分は、その実質を検討すれば、多くは「思想、観念又は事実」の範疇に属するものであって、著作権法によって保護される「創作的表現」それ自体ではない。本件について、最高裁判所は次のとおり一つ一つ分析した。第一に、「江差町がかつてニシン漁で栄え、その賑わいは江戸にもないといわれるほどのものであったこと、その後ニシン漁が振るわなくなりその面影がなくなったこと」という事実の記述は、一般的な知見に属するものであり、創作性を有しない。第二に、「江差追分全国大会を、昔日の栄華がよみがえったような一年の絶頂として位置づける」というこの認識は、たとえ確かに江差町民の一般的な見解とは異なり、被上告人個人の独特な見解であったとしても、この「見解」又は「認識」それ自体は、なお著作権法上保護されない「思想」又は「観念」の範疇に属するものであり、何人も被上告人と同一の認識又は見解を自由に表明することができ、これは著作権法が禁止することではない。第三に、過去の栄華と現在の様子を描写する叙述の順序(今昔の対比を先に描き、その後に特定の行事を昔日の栄華がよみがえったものとしての絶頂に位置づける)についても、この叙述の構成方法自体は一般的でありふれた叙述手法であり、特段の創作性を有しない。第四に、前記の保護されない思想、観念、事実及びありふれた叙述構成を除いた後、本件ナレーションは具体的な表現用語において、本件プロローグと既に相当の相違を生じており、本件プロローグの表現形式上の本質的な特徴を直接感得させる程度に達しているとは認め難い。

(三)結論

これに基づき最高裁判所は、本件ナレーションと本件プロローグとの間には、思想、観念、事実及び創作性を有しない表現部分における同一性が存するにとどまり、著作権法によって保護される創作的表現それ自体における同一性ではないとして、本件ナレーションは本件プロローグの翻案には当たらないと認定し、原判決を破棄して被上告人の請求を棄却した。



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