特許制度は、新しい技術を創作した発明者に対して一定期間の独占権を与える制度である。しかし、すべてのアイデアが特許として認められるわけではなく、特許法上の要件を満たす必要がある。日本の特許法における「特許」は、台湾専利法における「發明專利」に相当する。台湾の専利法では、日本の特許・実用新案・意匠に対応する制度が「發明專利」「新型專利」「設計專利」として一つの法律に規定されている。本節では、日本の特許法上の発明特許、すなわち台湾法の發明專利に関する特許要件について説明する。
專利制度係對創作出新技術之發明人,賦予其於一定期間內享有獨占權之制度。然而,並非所有構想皆可取得專利,仍須符合專利法所規定之各項要件。日本專利法所稱之「專利」,相當於臺灣《專利法》中的「發明專利」。臺灣《專利法》將相當於日本專利、實用新案及意匠之制度,分別規定為「發明專利」、「新型專利」及「設計專利」,並統一納入同一部法律之中。本節所討論之日本專利法上的發明專利,即相當於臺灣法上的發明專利,以下將以此為中心說明其取得專利所需具備之要件。
日本特許法第29条・第32条・第39条 条文対照 / 日本專利法第29條・第32條・第39條條文對照
| 日本特許法第29条第1項・第2項 | 日本專利法第29條第1項・第2項 |
【第29条第1項】産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
(一)特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
(二)同前において公然実施をされた発明
(三)同前において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明 |
【第29條第1項】可供產業上利用之發明,除下列各款所列之發明外,發明人得就其發明取得發明專利。
(一)於申請前,已在日本國內或外國為公眾所知之發明
(二)於申請前,已在日本國內或外國公開實施之發明
(三)於申請前,已在日本國內或外國之刊行物中記載之發明,或已透過電信網路供公眾得以利用之發明 |
| 【第29条第2項】特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。 |
【第29條第2項】於專利申請前,該發明所屬技術領域中具有通常知識者,若能基於前項各款所列之發明而容易完成該發明者,則不得取得發明專利。 |
| 日本特許法第32条(不特許事由) | 日本專利法第32條(不予專利事由) |
| 公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第29条の規定にかかわらず、特許を受けることができない。 | 【第32條】有違反公共秩序、善良風俗或有害公共衛生之虞之發明,縱符合第二十九條之規定,亦不得取得發明專利。 |
| 日本特許法第39条 | 日本專利法第39條 |
1.同一の発明について異なつた日に二以上の特許出願があつたときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。
2.同一の発明について同日に二以上の特許出願があつたときは、特許出願人の協議により定めた一の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その発明について特許を受けることができない。
3.特許出願に係る発明と実用新案登録出願に係る考案とが同一である場合において、その特許出願及び実用新案登録出願が異なつた日にされたものであるときは、特許出願人は、実用新案登録出願人より先に出願をした場合にのみその発明について特許を受けることができる。
4.特許出願に係る発明と実用新案登録出願に係る考案とが同一である場合(第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願(第四十四条第二項(第四十六条第六項において準用する場合を含む。)の規定により当該特許出願の時にしたものとみなされるものを含む。)に係る発明とその実用新案登録に係る考案とが同一である場合を除く。)において、その特許出願及び実用新案登録出願が同日にされたものであるときは、出願人の協議により定めた一の出願人のみが特許又は実用新案登録を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、特許出願人は、その発明について特許を受けることができない。
5.特許出願若しくは実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その特許出願又は実用新案登録出願は、第一項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その特許出願について第二項後段又は前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。
6.特許庁長官は、第二項又は第四項の場合は、相当の期間を指定して、第二項又は第四項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を出願人に命じなければならない。
7.特許庁長官は、前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、第二項又は第四項の協議が成立しなかつたものとみなすことができる。 |
1.對於同一發明,如有於不同日期提出二件以上之專利申請者,僅最先提出申請之專利申請人得就該發明取得專利。
2.對於同一發明,如於同一日提出二件以上之專利申請者,僅得由專利申請人協議決定之一名申請人就該發明取得專利。若協議不成立或無法協議者,則任何人均不得就該發明取得專利。
3.當專利申請所涉之發明與實用新案註冊申請所涉之考案相同,且該專利申請與實用新案註冊申請係於不同日期提出時,僅於專利申請人較實用新案註冊申請人先提出申請之情形下,始得就該發明取得專利。
4.當專利申請所涉之發明與實用新案註冊申請所涉之考案相同(但不包括依第四十六條之二第一項規定基於實用新案註冊所為之專利申請〔包含依第四十四條第二項(於第四十六條第六項準用之情形)規定視為於該專利申請時提出者〕所涉之發明與該實用新案註冊所涉之考案相同之情形),且該專利申請與實用新案註冊申請係於同一日提出時,僅得由出願人協議決定之一名出願人取得專利或實用新案註冊。若協議不成立或無法協議者,則專利申請人不得就該發明取得專利。
5.當專利申請或實用新案註冊申請被放棄、撤回或駁回,或對該專利申請作成應予駁回之審查決定或審決並確定時,就第一項至前項規定之適用,該專利申請或實用新案註冊申請視為自始不存在。但若該專利申請係因符合第二項後段或前項後段規定而作成駁回決定或審決並確定者,不在此限。
6.特許廳長官於第二項或第四項之情形,應指定相當期間,命申請人進行該等協議並申報其結果。
7.特許廳長官於依前項規定所指定之期間內,如未收到依該項規定之申報,得視為第二項或第四項之協議未成立。 |
特許庁審査基準:産業上の利用可能性と医療行為 / 特許廳審查基準:產業利用性與醫療行為
特許庁「特許・実用新案審査基準」第Ⅲ部第1章(産業上の利用可能性)は、以下の通り定めている。
① 人間を手術、治療又は診断する方法は、産業上の利用可能性を欠くため、特許を受けることができない。
② 医薬品や医療機器の発明(物の発明)は産業上利用可能である。
③ 医療行為に限定されない場合(動物への適用を含む方法等)は、特許を受けることができる場合がある。
(出典:特許庁「特許・実用新案審査基準」第Ⅲ部第1章2.2「人間を手術、治療又は診断する方法」)
特許を受けるためには、まずその創作が法律上の「発明」に該当しなければならない。日本の特許法第2条第1項は、発明を「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義している。したがって、単なる学問上の発見や人為的なルール、ゲームの方法、数学の公式そのもの、占いの方法などは発明には該当しない。一方で、自然法則を利用した技術的な工夫であれば、機械装置、化学物質、医薬品、プログラム関連発明なども特許の対象となり得る。
取得專利之前提,係該創作必須符合法律上「發明」之定義。日本《專利法》第2條第1項將發明定義為:「利用自然法則之技術思想之創作中屬於高度者。」因此,單純的學術發現、人為制定的規則、遊戲方法、數學公式本身或占卜方法等,原則上不屬於發明之範疇。反之,凡係利用自然法則所完成之技術創作,例如機械裝置、化學物質、醫藥品或程式相關發明等,均可能成為專利保護之標的。
発明は、実際に産業上利用することができるものでなければならない。ここでいう「産業」とは、工業だけでなく、農業、林業、漁業、サービス業など広い意味での産業活動を含む。例えば、新しい医薬品や機械設備、農作物の栽培技術などは産業上利用可能性を有する発明といえる。他方で、現実には実施できない技術や純粋な学術研究成果のみでは、特許制度による保護の対象とはならない。特許制度は産業の発達を目的としているため、実際に社会や経済活動の中で利用できることが重要な要件となる。
發明必須能夠在產業上加以利用。此處所稱「產業」,不限於工業,尚包括農業、林業、漁業及服務業等廣義之產業活動。例如,新型醫藥品、機械設備及農作物栽培技術等,均屬具有產業利用性之發明。反之,現實上無法實施之技術,或僅為純粹學術研究成果者,則不得成為專利保護之對象。專利制度以促進產業發展為目的,因此發明必須能夠實際應用於社會及經濟活動中。
新規性とは、その発明が出願時点において新しいものであることを意味する。出願前に既に公然と知られていた発明(公知発明)、公然と実施されていた発明、あるいは刊行物やインターネット等に掲載されていた発明については、新規性が失われる。そのため、既に世の中に公開されている技術を後から特許として独占することは認められない。また、発明者自身が学会発表や論文公表、SNS等で発明内容を公開した場合であっても、新規性を失う可能性がある。したがって、特許出願を行う際には、公表のタイミングに十分注意する必要がある。
新穎性係指,該發明於申請時尚屬嶄新之要件。若申請前已廣為公眾所知(公知發明)、已公開實施,或已刊載於刊行物、網際網路等公開資訊中,則喪失新穎性。因此,就已公開之技術事後申請獨占,不被允許。此外,即使係發明人本人於學術研討會、論文發表或社群媒體上揭露發明內容,亦可能導致新穎性喪失。因此,在提出專利申請時,應充分注意公開發表之時點。
進歩性とは、その技術分野において通常の知識を有する者、いわゆる「当業者」が容易に思いつくことのできない発明であることをいう。たとえ新規性が認められる場合であっても、既存技術をわずかに変更しただけのものや、当業者であれば容易に想到できる程度の改良にすぎないものについては進歩性が否定される。例えば、既存装置の材料を単純に変更しただけの場合や、周知技術を通常の方法で組み合わせただけの場合には、進歩性が認められないことが多い。進歩性は、発明が技術の発展にどの程度貢献しているかを評価する重要な要件であり、実務上も特許性判断の中心的な論点となる。
進步性係指,該發明對於其所屬技術領域中具有通常知識者(即「當業者」)而言,無法輕易完成之要件。即使發明具有新穎性,若僅係對既有技術略加變更,或屬當業者易於想到之改良者,亦可能被否定進步性。例如,單純更換既有裝置之材料,或以慣常方法組合習知技術者,通常不具進步性。進步性係評估發明對技術發展之貢獻程度之重要要件,亦為實務上專利性判斷之核心論點。
日本の特許制度は「先願主義」を採用している。これは、同じ発明について複数の者が出願した場合には、最も早く特許庁に出願した者が特許を受けることができるという原則である。そのため、たとえ発明を最初に完成させた者であっても、出願が遅れれば特許権を取得できない場合がある。現代の特許制度では、発明そのものだけでなく、迅速な権利化手続も重要であり、研究成果を得た後は速やかに出願を行うことが求められる。
日本專利制度採取「先申請主義(先願主義)」。即同一發明若有二人以上提出申請,以最先向特許廳提出申請者取得專利權之原則。因此,即使係最先完成發明之人,若申請遲延,亦可能無法取得專利權。現代專利制度中,不僅發明本身,迅速完成權利化手續亦至關重要,研究成果完成後應儘速提出申請。
特許法第32条は、公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれのある発明については特許を与えないこととしている。例えば、犯罪にのみ利用される装置や、社会的に著しく有害な技術などは特許の対象から除外される。これは、特許制度が単に発明者の利益を保護するだけでなく、社会全体の利益との調和を図ることを目的としているためである。したがって、技術的に優れた発明であっても、その利用が社会秩序に反する場合には特許による保護は認められない。
《專利法》第32條規定,有違反公共秩序、善良風俗或有害公共衛生之虞之發明,不得取得發明專利。例如,僅供犯罪使用之裝置或對社會具有顯著危害性之技術,均被排除於專利保護之外。此乃因專利制度不僅旨在保護發明人之利益,更以與社會整體利益相調和為目的。因此,即使係技術上優越之發明,若其利用有違社會秩序,亦不得受專利保護。
特許出願を行う際には、発明の内容を明細書に十分かつ明確に記載しなければならない。明細書には、発明の目的、構成、効果、実施方法などを具体的に説明する必要がある。特に重要なのが「実施可能要件」であり、その技術分野の専門家が明細書の記載に基づいて発明を再現し、実施できる程度に開示されていなければならない。特許制度は発明内容を社会に公開する代わりに独占権を付与する制度であるため、発明の内容が十分に開示されていない場合には特許を受けることができない。
提出專利申請時,必須於說明書中充分且明確記載發明內容。說明書必須具體說明發明之目的、構成、效果及實施方式等。其中特別重要的是「可實施要件」,即必須達到使該技術領域之專業人員得依說明書記載再現並實施發明之程度。專利制度係以向社會公開發明內容換取獨占權之制度,因此,若發明內容揭露不充分,即不得取得專利。
| 要件 | 内容(要旨)/內容(要旨) |
| 産業上利用可能性產業利用性 | 産業で利用できる発明であること在產業上得以利用之發明 |
| 新規性新穎性 | 出願前に公表・公知でないこと申請前尚未公開・公知 |
| 進歩性進步性 | 当業者が容易に想到できないこと當業者不能輕易完成 |
| 先願主義先申請主義 | 同一発明なら先に出願した者が優先同一發明以先申請者取得專利 |
| 明細書要件說明書記載要件 | 発明内容が明確・十分に記載されていること發明內容記載明確且充分 |
| 公序良俗不違反公序良俗 | 公の秩序・善良の風俗を害しないこと不違反公共秩序及善良風俗 |
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台湾専利法第22〜24条 条文対照 / 台灣專利法第22〜24條條文對照
| 台湾専利法第22条第1・2項 | 台灣專利法第22條第1・2項 |
【第22条第1項】 産業上利用することのできる発明は、次の各号いずれかに該当しなければ、本法により出願し、特許を受けることができる。 (1)出願前に既に刊行物に記載されたもの。 (2)出願前に既に公然実施されたもの。 (3)出願前に既に公然知られたもの。 |
【第22條第1項】 可供產業上利用之發明,無下列情事之一,得依本法申請取得發明專利: 一、申請前已見於刊物者。 二、申請前已公開實施者。 三、申請前已為公眾所知悉者。 |
【第22条第2項】 2.発明が前項各号の事情に該当しなくても、それが属する技術分野の通常知識を有する者が出願前の従来技術に基づいて容易に完成できる場合は、発明特許を受けることができない。 |
【第22條第2項】 2.發明雖無前項各款所列情事,但為其所屬技術領域中具有通常知識者依申請前之先前技術所能輕易完成時,仍不得取得發明專利。 |
| 台湾専利法第23条(拡大先願) | 台灣專利法第23條(擴大先申請) |
【第23条】 特許を出願した発明が、その出願より先に出願され、かつその出願後はじめて公開又は公告された発明特許若しくは実用新案登録出願に添付される明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された内容と同一である場合、特許を受けることができない。ただし、当該出願人と先に出願された発明又は実用新案登録の出願人が同一である場合は、この限りでない。 |
【第23條】 申請專利之發明,與申請在先而在其申請後始公開或公告之發明或新型專利申請案所附說明書、申請專利範圍或圖式載明之內容相同者,不得取得發明專利。但其申請人與申請在先之發明或新型專利申請案之申請人相同者,不在此限。 |
| 台湾専利法第24条(不特許事由) | 台灣專利法第24條(不予發明專利) |
【第24条】 次の各号のいずれかに該当するものは、発明特許を受けることができない。 (一)動物、植物、及び動物や植物を生み出す主な生物学的方法。但し、微生物学的方法はこの限りでない。 (二)人間又は動物の病気の診断、治療又は外科手術の方法。 (三)公序良俗を害するもの。 |
【第24條】 下列各款,不予發明專利: 一、動、植物及生產動、植物之主要生物學方法。但微生物學之生產方法,不在此限。 二、人類或動物之診斷、治療或外科手術方法。 三、妨害公共秩序或善良風俗者。 |
台湾智慧財産局(TIPO)審査基準 / 台灣智慧財産局(TIPO)審查基準
台湾TIPO「専利審査基準」第二篇第一章(発明の定義・産業利用性)および第二章(新穎性・進歩性)において以下が規定されている。
① 産業利用性:発明は産業上製造又は使用可能でなければならない(学術理論のみ、あるいは現実に実施不可能な発明は不可)。
② 新穎性の判断基準:申請前に刊行物記載・公然実施・公然知悉のいずれかに該当すれば新穎性喪失。国内外の先行技術を参酌する。
③ 進歩性の判断:先行技術から当業者が容易に完成できるか否かを総合的に判断。先行技術の組合せによる容易想到性も含む。
④ 第24条第2款(医療行為の排除):人類または動物の診断・治療・外科手術の方法は発明専利の対象外。ただし医薬品・医療機器(物の発明)はこの限りでない。
(出典:台湾智慧財産局「専利審查基準」第二篇第一章・第二章・第三章第4節)
台湾専利法第21条は、発明を「自然法則を利用した技術思想の創作」と規定している。そのため、日本法と同様に、単純な発見、数学の公式、遊戲のルール、商業方法そのものや人為的なルールは、原則として発明専利保護の対象とはならない。反対に、自然法則を利用した技術的創作(例えば機械設備、化学製品、生物技術またはコンピューターソフトウェア関連技術)は発明専利の標的となり得る。
台灣《專利法》第21條規定,發明係指利用自然法則之技術思想之創作。因此,與日本法相同,單純的發現、數學公式、遊戲規則、商業方法本身或人為制定的規則,原則上不屬於發明專利保護對象。反之,若係利用自然法則所完成之技術創作,例如機械設備、化學製品、生物技術或電腦軟體相關技術,則可能構成發明專利之標的。
台湾専利法も発明が産業利用性(Industrial Applicability)を有することを要求している。すなわち、当該発明が産業上製造または使用可能なものであり、単に理論的な次元にとどまるものではないことが必要である。例えば新薬、製造設備、農業技術等は通常産業利用性を備えている。発明が実際に実施不可能である場合、または抽象的な理論・学術研究成果にとどまる場合には特許保護を受けることができない。
台灣《專利法》亦要求發明具有產業利用性(Industrial Applicability)。亦即,該發明必須能夠在產業上製造或使用,而非僅停留於理論層面。例如新藥、製造設備、農業技術等通常具備產業利用性。若發明無法實際實施,或僅為抽象理論與學術研究成果,則無法取得專利保護。
台湾専利法第22条第1項も新穎性要件を規定している。発明が申請前に既に公衆に知られていた場合、公然実施されていた場合、または国内外の刊行物・ネットワークデータベース等の公開情報に掲載されていた場合には新穎性を喪失し、特許を受けることができない。したがって、発明者が申請前に論文発表、学術発表またはネット上で技術内容を公開した場合にも特許権を喪失するおそれがある。
台灣《專利法》第22條第1項亦規定新穎性要件。若發明在申請前已為公眾所知悉、已公開實施,或已刊載於國內外刊物、網路資料庫等公開資訊中,即喪失新穎性而不得取得專利。因此,發明人在申請前公開論文、參加研討會發表或於網路公開技術內容時,也可能導致新穎性喪失。
台湾専利法第22条第2項は進歩性要件を規定している。発明が新穎性を有する場合であっても、当該技術分野の通常知識者が先行技術に基づいて容易に完成できるものである場合には、発明専利を受けることができない。換言すれば、発明は既有技術に対して実質的な進歩を有するものでなければならず、通常の技術者が容易に想起し得る改良にすぎないものは不可である。進歩性と新穎性はいずれも専利審査における最も中核的な実体要件である。
台灣《專利法》第22條第2項規定進步性要件。即使發明具備新穎性,若該技術領域之通常知識者依據先前技術即可輕易完成者,仍不得授予發明專利。換言之,發明必須較既有技術具有實質進步,不能只是一般技術人員容易想到的改良。進步性與新穎性同為發明專利審查中最核心的實體要件。
台湾専利法第31条も先申請主義(First-to-File Principle)を採用している。同一発明について二人以上が特許を申請した場合、最初に申請した者が特許権を取得する。したがって、特許申請手続を早期に完了させることは権利保護にとって極めて重要な意義を有する。
台灣《專利法》第31條亦採取先申請主義(First-to-File Principle)。同一發明有二人以上申請發明專利時,以最先提出申請者取得發明專利。因此,及早完成專利申請程序對於權利保護具有極為重要的意義。
台湾専利法第24条第3款は、公序良俗を害するものは発明専利を受けることができないと規定している。例えば、専ら犯罪に使用される装置、倫理に違反する技術または社会の安全を危害する発明は、特許保護の対象から除外される場合がある。
台灣《專利法》第24條第3款規定,妨害公共秩序或善良風俗者,不得取得發明專利。例如專門用於犯罪之裝置、違反倫理之技術或危害社會安全之發明,均可能被排除於專利保護之外。
台湾専利法第26条も出願人が説明書において発明内容を十分に開示することを要求している。説明書には発明の目的、技術内容、実施方式及びその効果を明確かつ完全に記載し、当該技術分野の通常知識者が説明書の内容に基づいて当該発明を実施できるようにしなければならない。開示内容が不十分・記載が不明確であるか、またはこれに基づいて実施することができない場合には拒絶または日後に無効とされるおそれがある。
台灣《專利法》第26條亦要求申請人於說明書中充分揭露發明內容。說明書必須清楚且完整地記載發明目的、技術內容、實施方式及其效果,使該技術領域具有通常知識者能夠依據說明書內容實施該發明。若揭露內容不足、記載不明確或無法據以實施,則可能遭到核駁或於日後被提起專利無效。
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第三部 特許要件と医療行為
第三部 專利要件與醫療行為
医療行為が特許法上問題となるのは、新規性や進歩性の段階ではなく、「産業上利用可能性」の要件との関係においてである。たとえ世界初の革新的な手術方法や治療方法であったとしても、日本では人間を対象とする医療行為は産業上利用可能性を欠くものと解されており、特許を受けることができない。
醫療行為在專利法上的問題,並非出現在新穎性或進步性之判斷階段,而是在是否具備「產業利用性」之要件上。即使是世界首創且具有高度創新性的手術方法或治療方法,在日本仍被認為欠缺產業利用性,因此不得取得專利。
■ 日本法における医療行為の取扱い
■ 日本法對醫療行為之處理
日本の特許法には、医療行為を特許対象から除外する明文規定は存在しない。しかし、特許庁の審査基準および裁判例においては、人間を手術、治療又は診断する方法は「産業上利用することができる発明」に該当しないと解されている。そのため、手術方法、治療方法及び診断方法は、原則として特許を受けることができない。
日本《專利法》並未明文規定醫療行為不得取得專利。然而,依據日本特許廳審查基準及司法實務見解,人類之手術、治療及診斷方法被認為不屬於可供產業利用之發明。因此,手術方法、治療方法及診斷方法原則上均不得取得專利。
■ 台湾法における医療行為の取扱い
■ 臺灣法對醫療行為之處理
台湾では、日本とは異なり、法律において医療方法の特許排除が明文で規定されている。専利法第24条第2款は、「人類或動物之診斷、治療或外科手術方法」は発明専利を受けることができないと定めている。そのため、台湾においては医療方法が特許対象外であることが法律上明確である。
臺灣與日本不同,直接於《專利法》中明文規定醫療方法不得取得專利。《專利法》第24條第2款規定:「人類或動物之診斷、治療或外科手術方法」,不得取得發明專利。因此,醫療方法在臺灣不具專利適格性,具有明確法律依據。
■ 医療行為を特許対象外とする理由
■ 醫療行為排除之理由
医療行為が特許の対象となれば、医師が特許権侵害の責任を懸念しながら診療を行わなければならなくなるおそれがある。また、医療技術の独占によって患者が十分な医療を受けられなくなる可能性もある。そのため、医療の自由の確保、患者利益の保護及び医療費高騰の防止といった公益的観点から、医療方法は特許対象から除外されている。
若醫療行為受到專利保護,醫師可能因擔心侵害專利權而影響診療行為。此外,醫療技術若遭獨占,亦可能妨礙病患獲得適當醫療。因此,為保障醫療自由、維護病患利益及避免醫療成本上升,各國多將醫療方法排除於專利保護之外。
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■ 東京高裁平成12年(行ケ)第65号 審決取消請求事件
■ 東京高裁平成12年(行ケ)第65號 審決取消請求事件
本件は、人間を診断する方法に関する発明について特許を受けることができるかが争われた事件である。裁判所は、医薬品や医療機器は特許の対象となる一方で、人間を手術・治療・診断する方法そのものについては、医師が特許権侵害の責任を恐れながら医療行為を行うことになり、患者の利益や医療の適切な実施に重大な支障を生じさせるおそれがあると指摘した。
その上で、現行特許法には医療行為に対する特別な免責規定が存在しないことから、人間を手術・治療・診断する方法は「産業上利用することができる発明」に該当せず、特許を受けることはできないと判断した。本判決は、日本において医療行為を特許対象外とする根拠を「産業上利用可能性の欠如」に求めた代表的判例として位置付けられている。
本案係爭人類診斷方法之發明是否得取得專利之事件。法院指出,醫藥品及醫療機器屬於專利保護對象,然而就人類之手術、治療或診斷方法本身,若受到專利保護,醫師將可能因顧慮侵害專利責任而影響其醫療行為,對患者利益及醫療之適當施行造成重大障礙。
基於現行特許法中不存在醫療行為之特別免責規定,法院判斷,人類之手術、治療及診斷方法不屬於「可供產業上利用之發明」,不得取得專利。本判決係日本以「缺乏產業利用性」作為醫療行為不具專利適格性依據之代表性判例。
■ 医師法違反(タトゥー施術)事件 最高裁判所第二小法廷 令和2年9月16日決定
■ 醫師法違反(刺青施術)事件 最高裁判所第二小法廷 令和2年9月16日決定
本件は、医師免許を有しない彫師が顧客に対してタトゥー(入れ墨)施術を行ったことが、医師法第17条に違反するかが争われた事案である。従来、タトゥー施術は皮膚に針を用いて色素を注入する行為であるため、医療行為に該当するかについて議論が続いていた。
最高裁判所は、医師法第17条の目的は公衆衛生上の危害を防止することにあるとした上で、医師免許を有しない者が行う行為であっても、直ちに保健衛生上の危害を生じさせるおそれがある場合に限って「医業」に該当すると判断した。その上で、タトゥー施術は人体に一定の侵襲を伴うものの、その目的は疾病の治療や診断ではなく、主として装飾や信仰上の表現にあることを指摘し、医師法上の「医業」には該当しないと判断し、被告人を無罪とした。
本案係爭不具醫師執照之刺青師對顧客施以刺青(入れ墨),是否違反《醫師法》第17條之事案。由於刺青施術係以針具將色素注入皮膚之行為,是否構成醫療行為,長期以來存有爭議。
最高裁判所認為,《醫師法》第17條之目的在於防止公衆衛生上之危害,即使係非醫師所為之行為,亦唯有在直接引發保健衛生危害之虞時,方構成「醫業」。法院進而指出,刺青施術雖對人體有一定侵襲性,然其目的並非治療或診斷疾病,而主要係裝飾或信仰表達,因此不構成《醫師法》上之「醫業」,被告因此獲無罪判決。
判例の意義 / 判例意義
本判決は、医療行為の判断基準について重要な指針を示した。すなわち、人体への侵襲性が存在するという理由だけで医療行為と判断するのではなく、その行為の目的、危険性の程度、公衆衛生上の必要性、そして医師による独占の必要性などを総合的に考慮して判断すべきことを示した点に大きな意義がある。
本判決は医療行為の範囲を考える上で、現代の医療法学および医事法実務における重要判例の一つと評価されている。
本判決之重大意義在於,其確立了醫療行為之判斷標準:不得僅因對人體具有侵襲性即認定為醫療行為,而應綜合考量行為目的、危險程度、公衆衛生必要性以及由醫師獨占之必要性等因素加以判斷。本判決被認為是現代醫事法學及醫療法實務上理解醫療行為範圍之重要判例之一。
■ 豊胸用組成物特許事件 知財高裁大合議判決(令和5年(ネ)第10040号)
■ 豐胸用組成物專利事件 知財高裁大合議判決(令和5年(ネ)第10040號)
本件は、人体から採取した血漿を用いて豊胸を目的とする組成物(物の発明)について、特許を受けることができるかが争われた事案である。知財高裁大合議は、以下の理由から産業上利用可能性を肯定した。
本案係爭以自人體採取之血漿製作之豐胸用組成物(物之發明),是否得取得專利之事案。知財高裁大合議以下列理由,肯定其產業利用性。
判決の要旨 / 判決要旨(引用)
① 特許法第29条第1項は、人体に投与することが予定されている物を特許対象から除外する旨を明示的に規定していない。また、昭和50年改正以前は「医薬」を不特許事由としていたが、同改正においてこの規定が削除されたことにより、人体への投与が予定されている医薬の発明であっても特許を受け得ることが明確にされた。
② 採血、組成物の製造及び被施術者への投与が常に一連一体とみるべき不可分な行為であるとはいえない。むしろ、再生医療や遺伝子治療等の先端医療技術が飛躍的に進歩しつつある近年の状況を踏まえると、人間から採取したものを原材料として医薬品等を製造する技術の発展には、医師のみならず、製薬産業その他の産業における研究開発が寄与するところが大きく、技術の発展を促進するために特許による保護を認める必要性が認められる。
③ 人間から採取したものを原材料として、最終的にそれがその人間の体内に戻されることが予定されている物の発明について、そのことをもって、これを実質的に「方法の発明」に当たるとか、一連の行為としてみると医療行為であるから「産業上利用することができる発明」に当たらないなどということはできない。
(出典:知財高裁大合議判決 令和5年(ネ)第10040号)
本判決は、先端医療技術(再生医療・遺伝子治療等)の発展に伴い、「物の発明」と「方法の発明」の区別、および産業上利用可能性の判断基準を整理した重要判例として位置付けられる。特に、医薬品・医療関連の物の発明については産業上利用可能性を肯定し、特許保護の重要性を確認した点で実務的意義が大きい。
本判決因應先端醫療技術(再生醫療、基因治療等)之發展,就「物之發明」與「方法之發明」之區別,以及產業利用性之判斷基準進行整理,被認定為重要判例。尤其就醫藥品及醫療相關物之發明肯定其產業利用性,確認專利保護之重要性,具有重大實務意義。
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日本と台湾はいずれも、人間を対象とする手術方法、治療方法及び診断方法について特許を認めていない。しかし、その法的根拠には違いがある。日本では産業上利用可能性を欠くものとして解釈上排除されるのに対し、台湾では専利法第24条第2款によって明文で排除されている。一方で、医薬品や医療機器については両国とも特許保護の対象となる。
日本與臺灣均不允許就人類之手術方法、治療方法及診斷方法取得專利。然而,其法律依據有所不同。日本係透過解釋認定欠缺產業利用性而排除,臺灣則係依《專利法》第24條第2款明文排除。另一方面,醫藥品及醫療器械在兩國均得作為專利保護之標的。
| 比較項目 | 日本 | 台湾 |
| 排除の法的根拠排除之法律依據 | 産業上利用可能性を欠くと解釈(審査基準・判例)欠缺產業利用性(解釋) | 専利法第24条第2款に明文規定《專利法》第24條第2款明文規定 |
| 明文規定の有無明文規定之有無 | なし(解釈上の除外)無(解釋上排除) | あり(明示的規定)有(明示規定) |
| 手術方法手術方法 | 特許不可不得取得專利 | 特許不可不得取得專利 |
| 治療方法治療方法 | 特許不可不得取得專利 | 特許不可不得取得專利 |
| 診断方法診斷方法 | 特許不可不得取得專利 | 特許不可不得取得專利 |
| 医薬品(物の発明)醫藥品(物之發明) | 特許可能得取得專利 | 特許可能得取得專利 |
| 医療機器醫療器械 | 特許可能得取得專利 | 特許可能得取得專利 |
| 調剤行為への特別規定調劑行為之特別規定 | 特許法第69条第3項あり(権利効力の制限)有(《專利法》第69條第3項) | 特別規定なし無特別規定 |
まとめ・学習上の留意点 / 小結・學習注意事項
① 医療行為の特許適格性と特許権の効力制限(第69条第3項)は、法的性質が異なる別個の制度として区別して理解する必要がある。
② 日本では解釈上の除外(産業上利用可能性の欠如)であり、台湾では明文の法律上の除外(第24条第2款)という点が両国の最大の制度的相違である。
③ 知財高裁大合議判決(令和5年)は、先端医療関連の物の発明については産業上利用可能性を肯定しており、「物の発明」と「方法の発明」の区別が実務上重要な論点となる。
① 醫療行為之專利適格性與專利權效力限制(第69條第3項)係法律性質不同之各別制度,應分別加以理解。
② 日本係解釋上排除(欠缺產業利用性),臺灣係法律明文排除(第24條第2款),此為兩國最主要之制度差異。
③ 知財高裁大合議判決(令和5年)就先端醫療相關物之發明肯定其產業利用性,「物之發明」與「方法之發明」之區別成為實務上重要論點。